苦戦を強いられ、下位に低迷している今シーズンのミランが、貴重な勝点3を得た。セリエA第13節のメッシーナ戦を1−0で勝利したのだが、この決勝ゴールを決めたのが、キャプテンのマルディーニだった。長いシーズンのうちのたった1試合の、たったひとつのゴール。もし得点者がパオロ・マルディーニ――1985年1月にセリエAでデビューし、38歳5か月の今も現役生活を続ける――でなかったなら、それほどの話題にはならなかっただろう。

ここ数日、ファンや関係者の間では、マルディーニがシーズン終了後に引退するかどうかの話題で持ちきりとなっている。年齢的な問題、膝のケガによる不安を抱えているなかでの決勝ゴール。話題にならないはずはない。とりわけ、メッシーナGKストラーリが、インザーギやカカのシュートをことごとくセーブしていただけに、マルディーニの値千金のゴールは、人々に強い印象をもたらした。

「もしもチームが勝つために僕の存在が必要ならば、チームは依然として難しい状態にあるってことだよ」
決勝点について聞かれた際、マルディーニが冗談交じりに発したコメントだ。

しかし彼は、すぐに真面目な表情に戻って、次のように付け加えた。
「残念ながら齢は誰もがとるもの。でも、僕は自分自身を、まだこのチームに何らかの貢献ができる選手だと信じている。僕は現役を続けたいし、トレーニングも大好きなんだ。ただ、痛みを抱えた状態でのトレーニングを負担に感じる時もたまにある。自分の身の振り方を考えているのは事実だ。話題に出ているように、今のところもう1年契約を更新するよりも、引退に傾いてはいる。でも、考えを変えることはある。すべての可能性を考慮しているところなんだ」

その偉大さはいまさら言うまでもない。言葉よりも、次の数字を見れば明らかだ。メッシーナとの試合で、彼のセリエA出場は593試合に達した。ミランでの公式戦出場は実に833試合にもなる。
マルディーニの引退によって、ミランの栄光の時代は終焉に近づくのではないか、という意見も多い。

これについてマルディーニは語る。
「こうした流れ、サイクルは、いつの時代にも繰り返されるもの。今、新たな変化の時がやってきたと言うことだよ」
この発言は、彼の実質上の引退表明のように思われてならない。