今シーズンも、ミランはチャンピオンズリーグのグループリーグを突破した。11月21日に行なわれた第5節、AEKアテネに0−1と、史上初めてギリシャのクラブに敗れたが、リールとアンデルレヒトが2−2で引き分けたため、1試合を残してグループ1位が確定したのだ。

直接対決の結果を重視する大会規定によって、敗戦しながらヨーロッパのトップ16に進出できたことは、ここ9試合で5度目の黒星を喫したミランにとって、非常に大きな意味を持つ。チームの状況を、酸いも甘いも知り尽くしたベテラン、クラレンス・セードルフが語った。
「不調のどん底だっただけに、本当によかったよ。ケガ人は減る気配はないし、我々のシュートはことごとくクロスバーに阻まれた。数えてみたら、なんと12回! これは記録だね。それに連携面で上手くいかなかった。そんなことが一気に表面化したから辛かったよ。でも、グループリーグを突破したことで、新たな力も湧いてくるし、勇気も生まれる。ようやく一息つけるよ。これでまた前向きになれるしね」
 
物事が悪い方向へと加速度的に進行してしまうのは往々にしてあるものだ。世界有数のビッグクラブであるミランにしても、度重なる敗戦に、選手は自信さえ失いかけていた。しかし、グループリーグ突破を幸運な形で決したことで、チームを覆っていた不運は取り払われたように見える。

とはいえ、負けん気の強いセードルフは、そうした物言いをことさら嫌う。
「不運とか不幸とか、そんな言葉は聞きたくないね。僕たち自身が、運命を克服できるだけの強さを身につければいいだけの話さ。僕たちはミランの選手なんだ。そのへんのクラブの連中と一緒にしてほしくないね。

確かに苦しい思いはしたが、我々の決勝トーナメント進出は、チャンピオンズリーグに参加する全てのクラブ、特にファイナリストの座を狙っているクラブに対して、貴重なメッセージとなっただろう。そう、我々はメッセージを発信しているんだ。ミランは決して諦めない、どんな状況でも這い上がってくるチームだということを。アテネの試合は、言ってみれば軽いお披露目だったのさ。来年の5月23日、ここアテネで行なわれる決勝のために、我々は再びやって来ますからってね」