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 【大西純一の真相・深層】デジタル庁がJリーグの試合会場でマイナンバーカードの活用に関する実証実験を行った。11月1日に等々力競技場の川崎F対鹿島戦で、11月9日にはレモンガススタジアム平塚の湘南対札幌戦で実施。マイナンバーカードを持参した人が、会場内の顔認証端末でマイナンバーカードを読み取らせると、特典が与えられるというもの。この日は、公園敷地内のフードコートで使える1000円の商品券がもらえ、さらに抽選で地域の名産品などがプレゼントされた。

 狙いはマイナンバーカードの携帯、現在普及率が75%を超えているものの、持ち歩いている人は5割程度と見られ、自宅で保管している人が多い。その現状を打開し、サッカー場へ持っていけば、特典が与えられることで、持ち歩く割合を上げようというものだ。

 仕組みは、端末で読み取った顔写真の画像データがカードのチップのデータと一致するか確認する。会場内の端末はつながっているが、外部に問い合わせはしないという。

 マイナンバーカードを持ち歩くと、ほかにもメリットがあるという。「災害や道を歩いて具合が悪くなったときに持っていればスムーズに対応できる。こういう機会を通じて、持っていれば何かいいことがありそうだと、啓蒙・啓発のきっかけにしたい」と、視察した平大臣もPRする。さらに、お酒を買うときに、名前を明かさなくてもマイナンバーカードのデータで二十歳以上を証明することができるという。

 Jクラブもメリットがある。観戦に来た人のデータや動向を知ることができて、今後のチケット販売などにプラス。「ウィンウィンの関係」と、力が入る。さらに、コンサートなどでは不正転売防止のための活用も検討されている。今後はプロ野球やバスケットボールなどでも実証実験を考えていきたいという。

 もちろん、課題もある。個人情報を知られたくない人もいる。端末が何台も必要で、設備投資も簡単ではない。さらに特典の費用もかかる。

 とはいえ、Jリーグがこういうデータを活用してマーケティングを拡大していくことはプラス。露出度の低下が課題のJリーグの起爆剤になるか、注目される。