【日本初】「AIクローン」が住宅検討層の悩み解決へ 積水ハウスとAIQがAIチャットサービス開始 住宅オーナーのSNS投稿を学習しリアルタイムで回答

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積水ハウスとAIQが日本初の住宅検討層向けのチャットサービスを開始した。
実際に家を建てた人のインスタグラム投稿をAI(人工知能)に学習させ、ユーザーが質問を入力すると、リアルタイムで回答とひも付いた写真が返ってくるという。
専門家は、ユーザーにとって有益である一方で、AIに取得させるデータの多様性確保が課題だと指摘する。

日本初、オーナー情報を学習し回答するチャットサービス

人生で最大の買い物、「家」。
「いろいろ聞きたくても気軽に聞けない」そんな悩みを持つ方も多いのではないだろうか。

積水ハウスとAIQが12日から始めたサービス「AIクローンオーナー」は、実際に家を建てた人のインスタグラム投稿をAIに学習させることで生まれた、日本初の住宅検討層向けのチャットサービスだ。

積水ハウスCXデザイン室 小野百合香CRMチームリーダー:
オーナーさんの生声が自分の疑問の軽減や払拭になれば、次の一歩になる。近くにいる相談相手みたいな形で寄り添えるサービスになればいい。

戸建て住宅検討層への意識調査によると、住宅購入における情報源として、住宅メーカーからの情報よりも、第三者の口コミや情報を重視する傾向が分かっている。

積水ハウスCXデザイン室 小野百合香CRMチームリーダー:
家を建てるのは、すごく検討期間の長い商材になるので、これから家を建てようかなという、まだ初期段階でSNSやカタログで情報収集している方に、ぜひ試していただければいいなと。

まずは気になる持ち家のオーナーを選び、質問を入力すると、リアルタイムで回答とそれにひも付いた写真が返ってくる。

SNS上で直接質問するという心理的なハードルを下げながら、時間を選ばずにリアルな声が聞けるサービスとして、住宅検討層の要望に応えたいという。

積水ハウスCXデザイン室 小野百合香CRMチームリーダー:
実際にサービス利用してもらったお客様にヒアリングしたり、どういった質問があるかを分析してオーナーの人数を増やしていきたい。

他者も参考にしやすいAIの活用事例

「Live News α」では、オルタナティブワークラボ所長の石倉秀明さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
ーーテクノロジーを生かした事業展開にくわしい石倉さんは、今回の取り組みをどうご覧になりますか?

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
他社も参考にしやすいAIの活用例だと思います。口コミや住んでいる人の意見というのは貴重ですし、それを参考にしたいというのはユーザーとして当たり前なんだと思います。

特に住宅などは住んでみないと分からないことも多いので、リアルな声を聞けるのは非常に重要ですよね。

堤キャスター:
ーーやはり大きな買い物でもありますから、住まいの口コミというのはかなり重要になってきますよね。

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
ユーザーがそういったものを探そうと思ったら、自分で一生懸命ネットで検索していくしかないですが、非常に手間がかかります。そのように手間をかけても、本当に知りたい情報がネット上にあるとは限りませんし、あったとしても、投稿した人に話を聞くのはハードルが非常に高いですよね。

そういった意味で、AIで住んでいる人の声をまとめて回答できるようにすることは、ユーザーにとって有益なんじゃかないかなと思います。また、口コミによって不安がなくなれば、購入につながる可能性も高くなりますから、これは企業にとっても大きなメリットになります。

AIに取得させるデータの多様性確保が課題か

堤キャスター:
ーー便利だなと思う一方で、課題として考えられるものは何かあるのでしょうか?

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
課題としては、AIに取得させるデータの多様性をどう確保するかということだと思います。企業が出したい情報だけをAIに読み込ませてしまうと、それは口コミや住んでる人の声に見せかけた企業の声になってしまいます。

もう1つは、ネットなどに口コミを上げるのは、本当に満足してる人か、不満を強く持っている人のどちらかが多いので、そもそもバイアスがかかっている状態です。なかなか、本来自分でネットに口コミを上げないような、でも実際の住んでいる人の声をどう拾うかは、大きな挑戦になるのではないかと思います。

堤キャスター:
ーー口コミによる本音にも、さまざまなものがありますよね?

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
ユーザーが知りたいと思う、「本当のところ」を細かいところまでカバーできるまでの情報の多様性を担保できるかが課題になると思います。

そういう意味では、AIをうまく活用するということは、実際のお客さんとの距離が近く、その人たちの声をくみ取れる会社であること自体が強みになってくるかもしれないと思います。

堤キャスター:
リアルな声を共有することで、より気軽に、そしてより満足できるユーザー体験が広がっていくことを期待したいです。
(「Live News α」11月12日放送分より)