日本代表定着に向けて、次のステップを踏み出した。パリ五輪でU-23日本代表のキャプテンを務めたMF藤田譲瑠チマ(シントトロイデン)は10月シリーズに続いて連続選出。それでも「自分自身は危機感を持っているし、安心感はない」と気を引き締めつつ、「この遠征もまずはチームの結果を求めながら自分のできること、自分の見せられることを全力でやっていきたい」と意気込んだ。

 藤田は国内組編成で臨んだ2022年7月のEAFF E-1選手権でA代表初招集と初出場を飾った後、欧州組のフルメンバーには食い込めない時期が続いたが、パリ五輪を終えた10月シリーズで抜擢。初戦サウジアラビア戦(◯2-0)はベンチ外に終わるも、第2戦オーストラリア戦(△1-1)はMF遠藤航の体調不良もあり、ベンチメンバーに名を連ねた。

「前回のベンチ入りはアクシデントもありつつだったけど、まずはポジティブに捉えてもいいところ。これからはしっかり入り続けること。簡単じゃないけど、もっとやっていきたい」。ここからさらに存在感を高めていくべく、「自分もチームの一員として戦いたい気持ちはあるし、試合出場のためにいい準備をできたら」と力を込めた。

 今回の活動ではシントトロイデンでチームメートのDF谷口彰悟がアキレス腱断裂のため不参加。「シントでも支えてもらったし、代表でも大きく貢献していた選手。悔しそうな表情をしていたし、そのぶんも頑張りたい」。攻撃的3バックのトライを続ける森保ジャパンでDFリーダーを担い始めていた矢先の悲劇。藤田は谷口の無念も背負って戦う構えだ。

 9月シリーズは合宿直前の日曜夜にリーグ戦があったため、2日目からの合流となった藤田。今回は金曜夜に試合があったことに加え、代表戦初戦が前回よりも1日遅い金曜日に組まれていることもあり、谷口からは具体的なアドバイスを受けて合流してきたという。

「前回の試合は一番遅く合流したので、練習期間が少ない中でサウジ戦だったけど、今回は一番初めに合流できて練習の日数も4日間あるのでしっかり見せてこいよと言ってもらえた。とにかく頑張ってという話をしてもらいました」

 今回は遠藤も万全のコンディションで合流し、MF守田英正(スポルティング)とMF田中碧(リーズ)も所属クラブで好調が続いているため、ポジション争いは簡単ではない。それでも「自分に何ができるかと言われたら、バランスを見るところ。あの人たちの部分的なところを取ったのが自分だと思うので、バランスの良さは戦える武器になるのかなと思う」と自身の強みにフォーカス。まずは初日合流のコンディション面のアドバンテージを活かし、トレーニングからアピールしていくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)