なぜ「ハイブリッド車」はガソリン車よりもちょっと高額? 何年乗ったら“モト取れる”? メリットばかりでないHVの注意点とは

写真拡大 (全2枚)

ハイブリッド車は5年乗らないとモトが取れない!?

 国内の新車市場ではBEV(バッテリーEV)が徐々に普及していますが、現在の主役は、やはりハイブリッド車でしょう。
 
 ただし、エンジンとモーターを組み合わせる精密な「ハイブリッドシステム」を搭載するのですから、純ガソリン車とは違う取り扱いの難しさがあるようです。
 
 一体どのようなことに注意すべきなのでしょうか。

ハイブリッド車のエンジンルーム

 ハイブリッド車のメリットとして思いつくのは、「低燃費」や「燃料代が安く済む」「(車検や自動車税で)税金の優遇措置が受けられる」といった経済性の良さでしょう。

【画像】「えぇぇぇ!」 後席ドアノブない!? これが最新プリウスの斬新デザインです!(29枚)

 また、「EVモード走行の静粛性」もメリットのひとつとなっており、深夜の住宅街などでは騒音被害を軽減し神経を使わずに済みます。

 複雑な機構を搭載することから、ハイブリッド車は新車時も純ガソリン車より価格が高いのですが、下取り価格も同車種のエンジン車と比べると高めに査定してもらえます。値落ちがしにくいのも、乗り換えを考慮すればメリットのひとつといえます。

 その反面、ハイブリッドならではの注意点もあります。中古車販売店のスタッフD氏に聞いてみました。

「長く保有することを前提としてハイブリッド車に乗るのは良い選択だと思います。ただし5年以内にクルマを乗り換えるという人には、実はハイブリッド車はお勧めできません。

 というのも、ハイブリッド車のウリである経済性を5年程度では回収できないからです」

 5年以内の所有では、ハイブリッド車の最大のメリットであるはずの経済性が得られないとはどういうことでしょうか。

「まずは、購入するときの価格差です。たいていのハイブリッド車は同車種のエンジンモデルより価格が50万円前後高い傾向にあります。

 年間の税金や日々の燃料費などでこの差額を埋めるには、相当走り込んでも追いつけません。

 もちろん下取りも少しは上乗せされますが、中古車の場合は程度や走行距離も査定額に加味されます。

 ハイブリッド車だからと過走行になってしまえばマイナス査定になってしまいますし、ちょっとした修復や故障の修理費などでは、むしろハイブリッド車のほうが部品代も工賃も高くつくことがあります」(中古車販売店 スタッフD氏)

 最近のクルマはさまざまな運転支援システムや安全装備が搭載され、純正バンパーなどの交換部品価格が高騰している事情もあり、ちょっとした修理でも高額な支払いになってしまったら、燃料費の差額などあっという間に帳消しされます。

「また、ハイブリッド車には2種類のバッテリーが搭載されています。1つは駆動用のメインバッテリー、もう1つは電装部品やシステム自体を起動させるのに使用する補機(補器類)用バッテリーです。

 よくハイブリッド車の回生システムなどで減速エネルギーを充電にと聞きますが、あくまでもメインバッテリーの話で、補機用バッテリーは通常のオルタネーターで発電し蓄電されます。

 しかしハイブリッド車は電力を多く消費するシステムを多く搭載しているため、エンジン車よりもバッテリーの消耗が激しく、ガソリン車よりも早めに補機用バッテリーを交換する必要があります」(中古車販売店 スタッフD氏)

 また、中古のハイブリッド車はさらに慎重に選ぶ必要があるといいます。

「駆動用のメインバッテリーの寿命は約10年といわれますが、初期のモデルはさらに耐用年数が短いでしょう。

 購入してすぐにメインバッテリー交換で数十万円が必要になったら、せっかく中古で安く手に入れても意味がなくなってしまいます」(中古車販売店 スタッフD氏)

「また中古車は、乗り出す前にしっかりとメンテナンスすることを前提に購入してください。

 法定的にはどの店舗でも納車前点検などは実施しますが、油脂類はもちろん、消耗品を新品に交換する、弱点となりそうなところは事前にメンテナンスしてもらうことで、より安心してお乗りいただけると思います」(中古車販売店 スタッフD氏)

※ ※ ※

 ハイブリッドのウリであるはずの“半EV的”な部分が、実は一番の弱点となってしまうようです。

 トラブルの発生を下げるために、特に中古ハイブリッドは少なくとも補機用バッテリーを新品に交換してから乗るのが良いでしょう。