ロシア軍の空爆で破壊されたウクライナ北東部ハルキウのアパート=8日、ロイター

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 ロシアの侵略を受けるウクライナ東部では今年秋に入って要衝の陥落が相次いでおり、ウクライナ軍の劣勢が目立ち始めている。

 以前から課題となってきた兵力不足が大きな要因で、戦況は悪化している。

 ウクライナ軍参謀本部は8日、東部ドネツク州の輸送拠点ポクロウシクの南方約40キロ・メートルのクラホベ方面で前日、50回の戦闘があったと発表した。露軍はポクロウシクを陥落させるため、周囲を包囲する作戦を取っているとみられる。

 英誌エコノミストによると、ウクライナ軍が10月に失った領土は約620平方キロ・メートル。1か月に失った面積としては侵略開始以降、最大となる。ウクライナ軍総司令官は今月2日、SNSで「これまでで最も強力な攻勢の一つに耐えている」と述べた。

 ウクライナ軍は、10月初めに同州ウフレダルから撤退した。下旬には同州セリドベを失ったとみられている。いずれも露軍との紛争が始まった2014年から防衛拠点としてきた要衝だ。

 東部では露軍とウクライナ軍の戦力が拮抗(きっこう)する状況が続いてきた。だが、米紙ニューヨーク・タイムズは今月1日、米軍や情報機関が「もはや戦況は膠着(こうちゃく)状態ではない」と分析していると報じた。

 ウクライナ軍が苦戦する最大の原因は、兵力不足とされる。同じ部隊が交代なしで戦い続け、疲労による戦力低下が指摘されている。

 露西部クルスク州への越境攻撃で防衛がさらに手薄になったとの指摘もある。同州では露軍がウクライナ軍が制圧した地域の奪還を始めたほか、援軍で派遣された北朝鮮兵が参戦し、ウクライナ軍は守勢を余儀なくされている。