エミー賞「真田広之」にライバル心を燃やす「交流40年」の大物俳優とは
俳優の真田広之(64)が主演とプロデューサーを兼任したハリウッド発の時代劇シリーズ「SHOGUN 将軍」の第1話と第2話が、11月16日から23日まで全国200の映画館で上映される。米テレビ界の優秀作品を選ぶエミー賞で史上最多の18部門(主演男優賞、作品賞など)を受賞した大ヒット作の凱旋だ。この快挙に密かに炎を燃やす日本人俳優がいるという。
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9月15日(現地時間)にロサンゼルスで行われたエミー賞の授賞式での真田のスピーチは何度も報じられた。
真田:これまで時代劇を継承して支えてきてくださった全ての方々、そして監督や諸先生方に心より御礼申し上げます。あなた方から受け継いだ情熱と夢は海を渡り、国境を越えました! Thank you so much!!
映画関係者は言う。
「真田は2003年に公開されたトム・クルーズ主演の映画『ラスト サムライ』に出演したのを機にアメリカに移住しましたが、ハリウッドでは日本の武士道や時代劇をきちんと表現することができず、不満を持っていたそうです。そのため自らが主演とプロデューサーを務めた『SHOGUN 将軍』では、日本から時代劇のスタッフを呼び寄せ、セットや衣装縦も本式にし、日本人俳優には英語ではなく日本語を喋らせました。プロデューサーを務めたからこそ言える授賞スピーチでした」
その真田に刺激を受けた俳優とは誰だろう。
「中井貴一(63)です。これまでも映画や舞台でプロデューサーを務めていましたが、彼はさらにプロデュース業に力を入れ始めています」
真田が「刺激になった」
中井は2007年に公開された日中友好35周年記念映画「鳳凰 わが愛」で初めて映画のプロデューサーを務めた。13年に上演された舞台「趣味の部屋」では演劇のプロデューサーも経験。さらに、一昨年に公開された「大河への道」では落語家・立川志の輔の創作落語を映画化して主演も務めた。ただし、いずれの作品もヒットしたとは言えない興業成績だ。
「中井は最近、自身が主演する映画で、まだ日の目を浴びていない助監督らを監督としてデビューさせ、裏でサポートするといったことも行っています。なかなか高評価には至っていませんが、『真田がエミー賞を取ったことはとても刺激になって良かった』と話しています」
中井と真田にそれほどのつきあいがあったのだろうか。三菱UFJ信託銀行のCMでは中井、真田、柳沢慎吾(62)の共演が見られたが、ネット上には「3人なら真田ではなく時任三郎(66)では?」といった声もあった。
「大ヒットしたドラマ『ふぞろいの林檎たち』(TBS)のトリオということですね。確かに真田は『ふぞろい』には出演していませんでしたが、ドラマの放送当時から仲は良かったそうです」
真田が前妻の手塚理美(63)と婚約した際、雑誌「週刊明星」(1990年6月21日号)は二人の馴れ初めを報じた。
中井と真田の馴れ初め
《ふたりを結びつけたスターたちの“友だちの輪”は、テレビドラマ『ふぞろいの林檎たち』(TBS系・’83年)の共演者が中心となってできた。/なんとなくみんなで食事したり、飲みに行ったりするようになったのが『ふぞろいの――パートII』終了後のこと。/当時の中心メンバーは、中井貴一、時任三郎、手塚理美、柳沢慎吾など。そこに少し遅れて佐藤浩市も加わるようになった。(中略)真田はおよそ4年前、時任らの紹介で、このグループに加わった。》
「1991年4月、真田はと手塚は渋谷のライブハウスで式を挙げるのですが、それは時任夫妻との合同結婚式でした。式には中井ら『ふぞろい』チームに加え、この年、真田が主演した大河ドラマ『太平記』(NHK)の陣内孝則(66)や柳葉敏郎(63)らも出席したそうです。一緒に式を挙げた真田と時任はもちろんですが、同年代の中井とも気が合ったんでしょうね。この3人は後にJRAのCMシリーズでも共演していました」
ところが、中井と真田はドラマや映画での共演はなかなかなかった。
「2005年公開の映画『亡国のイージス』では、主演の真田が海上自衛隊のイージス艦の先任伍長を演じ、対する中井はイージス艦を占拠する某国の対日工作員の敵役を演じてぶつかり合いました」
当時、中井が真田について語っている。
あ・うんの呼吸
《現場では、いちいち説明しなくても、あうんの呼吸で伝わるという感覚がありましたね。またそれぞれに尊敬の念を抱いたというんでしょうか。イージス艦のセットの一番上のところで、真田くんと2人、冷たい風に吹かれながら待ち時間を過ごした時、『日本の映画界で、こんなに本格的なセットの上で芝居ができるなんて幸せだねぇ』という話をしたのが、しみじみとうれしかったですね(笑)》(「東京ウォーカー」05年8月2日号)
一方、真田も中井について語っている。
「日々撮影しながら阪本(順治)監督の断面が見えてくる。映画監督としてのこだわりや骨っぽさ。そういうものが少しずつ滲んでくる感じを初体験して、すごく楽しかった。それは中井貴一さんにも感じました。彼とは市川準さんが演出したCMのシリーズをやったことがありますけれど、映画での共演は初めてで。役的には敵同士なんですが、同じようにキャリアを重ねてきた者だけに通じる“あ・うん”の呼吸を感じました」(「キネマ旬報」05年8月1日号)
別の媒体ながら、お互いに“あうんの呼吸”という言葉を使っているのが面白い。
「中井も映画『鳳凰 わが意』でプロデューサーを務めた時には『もうこりごり』と言っていたのですが、その後も裏方を続けています。盟友・真田に負けず、一緒に日本映画界を盛り上げていきたいと思っているはずです」
デイリー新潮編集部