Googleは著作権侵害対策の取り組みとして、主に権利者からのDMCA削除リクエストに従って、違法なコンテンツをGoogle検索の検索結果から削除しています。この削除リクエスト数は記録的なレベルで増加しており、2024年1月中旬の段階ではリクエスト総数が77億4931万件でしたが、11月に入り100億件を突破したことが確認できます。

Google Transparency Report

https://transparencyreport.google.com/copyright/overview

Google Asked to Remove 10 Billion “Pirate” Search Results * TorrentFreak

https://torrentfreak.com/google-asked-to-remove-10-billion-pirate-search-results-241105/



Googleに寄せられたDMCA削除リクエストの数は、Googleがプライバシー、セキュリティ、情報へのアクセスデータを公開する透明性レポートの中にある「著作権問題によるコンテンツの除外」セクションから確認することができます。著作権問題によるコンテンツの除外セクションでは、これまで削除リクエストされたURLの総数、著作権侵害だと指定されたドメイン、リクエストをした著作権者数、団体数が記録されています。

著作権問題によるコンテンツの除外セクションは2012年に追加されてから、2019年から2021年頃はリクエスト総数が10億件増加するのに約2年かかっていましたが、2023年8月頃に70億件を突破してからはわずか6カ月で10億件増加しており、過去に前例のないペースで増加していることが報じられていました。削除リクエストが急増している主な原因としては、DMCAリクエストを専門に行う代理業者が権利者の代わりに大量のリクエストを送信していることが挙げられます。

Google検索の削除リクエストが記録的なレベルで爆増中、今年中に総数100億件突破か - GIGAZINE



そして、2024年11月に入り、リクエスト総数がついに100億件突破したことが確認されました。以下は、2024年11月7日17時ごろに確認した透明性レポートの数値。この時点で「除外がリクエストされたURL」は101億件以上、指定されたドメインは540万件、削除を要請した著作権者は60万以上が記録されています。



著作権侵害に関するトピックを扱うメディアのTorrentFreakによると、レポートを公開し始めた頃のGoogleは、年間数百万件のリクエストを処理していたそうです。その数は指数関数的に増加し、2016年には10億件を突破していたものの、2017年頃に減少し始めました。これは、さまざまな著作権侵害対策アルゴリズムが普及し始めたことで、海賊版コンテンツが検索結果に表示されにくくなったことが原因です。

以下は、TorrentFreakが示したGoogle削除通知の増加を表したグラフ。これによると、2012年から2016年まではゆるやかなペースで増加していますが、2016年ごろから急速に増加し、一時的にペースダウンを見せつつも一定量を保った上で、2024年前後からはさらに急激な伸びを見せていることがわかります。



また、近年の削除リクエストは総数が増えただけではなく、ターゲットとなるサイトにも変化が見られるとTorrentFreakは指摘しています。2012年当初は、違法なコンテンツをダウンロードさせるトレントサイトが主流でしたが、後にファイルホスティングサービスやストリーミングポータルが主流になっていきました。著作権侵害に関する追跡調査を行うMUSOが2023年の海賊版に関するデータを発表したレポートでは、「テレビ番組の海賊版はストリーミングサイトが96.3%を占めており、トレントサイトやダウンロードポータルはほとんど消滅している」ことが示されています。TorrentFreakによると、トレントサイトよりもファイルホスティングサービスやストリーミングポータルの方がインデックスされたページを多数持っているため、必然的に削除リクエストで指定されるドメインが増加するのも近年の増加の原因であるそうです。

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100億という数はGoogleが受け取ったリクエストの総数であり、実際に何件のURLが削除されたかという数値は、透明性データで明らかにされていません。たとえばホワイトハウスの公式ページである「WhiteHouse.gov」というドメインは、2024年までに27回リクエストを送信されていますが、Googleは「サイト上に著作権を侵害するコンテンツを発見しなかった」というケースの場合、削除要求を受け入れていません。また過去には、DMCA削除リクエストを悪用して、ライバルのウェブサイトをGoogleの検索結果から削除させたケースも報じられました。



削除通知が有効な場合、GoogleはGoogle関連のサービスからコンテンツを削除します。措置を講じる場合、影響を受けるサイトの管理者にGoogle Search Consoleを通じて通知が送られ、サイトの所有者は異議申し立て通知を提出できます。Googleはすべての異議申し立て通知を審査した上で、コンテンツを元に戻すか削除するかを判断します。Googleは「Googleでは、著作権を侵害しているとする明確かつ具体的な通知を受けた場合には、それに対し適切な対応を取ることをポリシーとしています」と述べています。