秋季練習で若手に「マン振り」指令を出した阿部監督(カメラ・宮崎 亮太)

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 巨人の阿部慎之助監督(45)が7日、若手野手陣に「マン振り指令」を出した。ジャイアンツ球場の秋季練習で行うフリー打撃で浅野、佐々木、泉口らに強振して遠くに飛ばす打撃を求めた。当てにいく打撃ではなく、速球に振り負けないスイングを身につけるために、試合のないこの時期だからこそ「とにかく強く振ること」と強調。各選手は豪快なフルスイングを繰り返して早速、変身した。

 強烈な大飛球が何度も外野フェンス付近に飛んだ。G球場でのフリー打撃の途中、阿部監督が若手に声をかけた。「マン振り指令を出した」と身ぶり手ぶり強振を指示。その直後から浅野、泉口、佐々木、増田陸らが変身した。低いライナーを広角に打ち分けていた姿から一転、上体が反り返るほどの豪快なフルスイングで長打性の打球を連発した。

 DeNAとのCS最終Sは6試合計9得点で敗退。シーズン通して攻撃面に課題が残った。門脇、浅野、中山らが1軍で貴重な経験を積んだが、チームとして速球派への対応に苦戦。打力強化を掲げる中で「強く振らないことには150キロは前に飛ばない。あのスピードに対応するには、スイングスピードを速くするしかない。振る力をつけないと」と若手主体の秋季練習でも力強さをテーマに設定した。

 公式戦がない秋だからこそ思い切って挑戦できる。「今の時期は調整じゃないでしょ。浅野に『試合あるの』って聞いたの。ないじゃんって。とにかく強く振れって。逆方向に打つとしても逆方向にホームラン狙って打ってみろって。どうやったら飛距離を出せるかとか。その中から何かつかまないと」。形を気にする前に、まず強く振れる土台づくりが不可欠と強調した。

 現役時代、主砲として通算406本塁打を放った阿部監督。フルパワーでバットを振った代償で脇腹を3度肉離れした。「これだけ振って、自分が思っている以上のスイングスピードが出ないと(筋肉は)切れない」と経験談を語り、若手に向けて「目標は脇腹の肉離れだ」と笑って珍指令も出した。ジョーク交じりだが、それぐらい強く振る意識を持てという意味だ。

 今季は岡本和がチーム最多の27本塁打、丸が同2位の14本塁打したが、25歳以下の若手野手の本塁打は浅野3本、萩尾2本、泉口1本だった。浅野は「シーズン中は結果が欲しくて打ち方も小さくなっていたかなと。ちょっと形にこだわっていた部分があったのですが、監督に言っていただいて切り替えてできると思います」とマン振り指令により本来の豪快な打撃を思い出した。佐々木も「形にとらわれすぎていたなと思いました」と原点回帰した。

 練習とはいえ特大の打球を連発した若手の変身ぶりに、阿部監督は「ああやって長打を狙えって言ったら打てるんだから。体が小さいからって、ちょこんちょこんやる必要もない」とパワフルな打撃を確認した。打線の底上げを目指す鍛錬の秋。ブリブリ振って強化する。(片岡 優帆)