「親のメンタル」は子どもの受験でも重要。ストレスが爆発しないためにすること5つ
中学受験を間近にひかえた6年生で気をつけたいのがメンタルブレイクです。「メンタルブレイクを避けるには親の協力と判断が不可欠です」と話すのは、元中学受験塾講師で受験真っ最中の小学6年生の子どもを持つ天海ハルカさん。天海さんが実践している、子どものメンタルブレイク防止法を教えてもらいました。
中学受験で起こる「メンタルブレイク」とは?
中学受験におけるメンタルブレイクとは、精神的に不安定になり、勉強や生活に支障が出ることを言います。
不眠や食欲不振などは目に見える異変なので気づきやすいでしょう。メンタル面では、勉強への意欲が急に下がり、まったく手がつかなくなってしまうこともあります。また、発作的に中学受験自体をやめたいと言う可能性も。
メンタルブレイクは積み重なったストレスが爆発したようなものです。突然メンタルブレイクすることは少なく、多くの場合イライラを外に向けたり、塾へ行き渋ったりするなどの兆候が表れます。
子どもがメンタルブレイクに陥らないよう、兆候が見えたら早めに対処してあげたいですね。
メンタルブレイクを防ぐためにやっていること
高学年の子はそもそも反抗期を迎える子も多く、素直に気持ちを話してくれない、物言いや口調がきつい、言っていることがコロコロ変わるといったことは珍しくありません。
受験勉強のストレスと精神的な成長から、今まではなんともなかったことで突然パニック状態に陥ることも。
たまったストレスを適度に発散させ、メンタルブレイクを未然に防ぐために私が実践しているのは以下の5つです。
1:リフレッシュタイムを設ける
ストレスというのは、毎日の勉強を当たり前にこなしているだけでも少しずつたまっていきます。ストレスゼロの受験勉強というのはなかなか難しいと思います。
そのうえ塾や勉強のために、友だちと遊んだり家族で出かけたりという機会も減っていることでしょう。ストレスがたまるのは仕方ないことなので、適度にガス抜きできるリフレッシュタイムをつくりたいものです。
わが家の場合は娘の好きな物を食べに行く、読みたい本を買う、のんびり買い物をするなどですね。午前中に模擬試験があるときは、テスト後の昼食を娘の好きなものにすると決めています。
本当ならテーマパークや旅行がよいのですが、毎日忙しくリフレッシュに取れる時間は多くありません。そのため短い時間でできることが中心になるが、「好きなものを自分で選ぶ」ことは楽しいようで、よい笑顔を見せてくれています。
2:簡単な問題を解く
過去問などで点数が取れないことが続くと、自信がすり減ってしまいます。勉強でうまくいかない、点数がとれないことが続くようなら、あえて簡単な問題をスケジュールに組み込むようにしています。
簡単といっても、小学1年生の足し算引き算ということではありません。間違えるとしても「分からないから」ではなく、「忘れたから・ミスしたから」で済むタイプの問題がよいですね。小数や分数を含む基本的な計算問題や、過去に解いた漢字問題などがおすすめです。
すり減った自信を回復させ、基礎力を底上げして、また難問や苦手な問題に取り組ませています。
3:睡眠をないがしろにしない
学校の宿題、塾の予習復習、過去問など、家ですることは多く、時間はいくらあっても足りません。
本来は早朝の時間を有効活用すべきですが、娘は朝起きるのが特に苦手なため、やりたいこともやらねばならないことも夜にまとめてやりたがります。
受験なのだから多少睡眠時間を削ることも仕方ないと思い夜更かしを許していた時期もあるのですが、一度娘がテスト中に少し寝てしまったということがありました。当然返ってきたテストの結果も散々で、本人は悔しい思いと罪悪感を抱いたのです。
実際に塾講師をしていたときにも、授業中いつも眠そうだったり居眠りをしてしまったりする子はめずらしくありませんでした。どれだけ家で勉強を頑張っても、授業やテストで集中できないのはもったいないですよね。
わが家の場合は理想を8時間、現実的には7時間の睡眠時間確保を目標にしています。
娘だけかもしれませんが、夜はなんとなく精神的に不安定になりやすいので、早く寝かせることで不安定な時間を避けられるという二次効果も感じています。
4:愚痴や弱音をうまく流す
愚痴や弱音をうまく流すというのは、ヒートアップを食い止めるということです。ストレスがたまると「受験をやめたい」「塾へ行きたくない」といった言葉が増えます。
もちろん本気で取り合ってあげることもときには必要ですが、「もう受験やめる!」「じゃあ塾も受験も全部やめてしまいなさい!」というように、けんかになってしまうと余計にストレスがかかってしまいます。ヒートアップした自分の言葉で、自分自身が追い詰められてしまう感じですね。
「もう受験やめる!」に対しては、「そうだね、じゃあそれは明日ゆっくり考えようね」と一旦置いておき、なにがつらいのか、なにが大変なのかを聞き取ります。子どもの強くて極端な言葉は、多くの場合、時間経過で落ち着きます。
愚痴や弱音を言い返すことなく一旦受け止め、うまく受け流すことで、ヒートアップを食い止めるのです。
5:親がメンタルブレイクをしない
私がなにより大切だと思っているのがこれです。
見ているしかできないからこそ、親はもどかしさや焦りを感じる部分があるんですよね。そのうえで子どもの愚痴や弱音を受け止め、送迎したりスケジュールを組んだりしなければなりません。ストレス、たまりますよね。私が「中学受験をやめてほしい」と思うことも何度もありました。
子どもより先に親がメンタルブレイクの危機に陥ることも不思議ではありません。しかし、親のメンタルブレイクは当然子どもの心を揺らしてしまいます。子どもが愚痴や弱音をぶつけられるのも、親のメンタルが安定しているからこそ。子どもを見てあげるためにもまずは親自身がメンタルを安定させることが重要です。
そのために、親自身も適度なガス抜きやリフレッシュが必要だと思います。子どものメンタルブレイクを防ぐには親の協力が不可欠です。
受験まで常に全速力で走るのは難しいことだと思います。親子ともに適度な休憩やガス抜きをはさみつつ、最後まで走り抜けていきましょう。