指名あいさつを受け、ポーズを決めるKMGホールディングス・木下(撮影・北村雅宏)

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 阪神からドラフト3位で指名された木下里都投手(23)=KMGホールディングス=が2日、福岡市内で宮脇編成ディレクター、畑山統括スカウト、前田スカウトから指名あいさつを受けた。三菱自動車のセールスマンとしての経験を生かし、プロ入り後は自信のある真っすぐを軸に、スマイル投法で売り込みをかける。販売店の営業で磨いた笑顔が、目標の新人王を射止める。

 丁寧な口調にセールスマンらしさがにじみ出る。ドラフト会議の翌朝も、福岡市内の職場に出社したという木下。祝福の連絡は「100件以上とか?分からないぐらいです」と多数受けたというが、「やっぱり店舗の人にもあいさつしたかったですので、行かせてくださいってことで」と律義な性格をのぞかせた。

 顧客40人を抱えて自動車販売に従事してきたが、プロではカット気味に曲がる最速156キロの直球をセールスポイントに己を売り込む。「車(のセールス)は言葉で言葉でという感じだと思うですけど、自分自身を売らないといけないので。活躍すると自分の名前も売れてきて、本気で応援してもらえると思います」。職場を甲子園に移す来季からの“営業計画”はバッチリだ。

 「お客さまの印象ってのは大事だと思いますので、常に笑顔で対応するようには心がけています」という接客中だけでなく、投球中のスマイルは木下にとってのバロメーターになっている。「マウンドで調子が上がってくると、笑ったりはします。淡々と投げてる時は、乗り切ってないっていう感じじゃないですかね」と自己分析。福岡大時代の先輩や、日本ハム・伊藤から影響を受けたプレースタイルだという。

 藤川新監督の“笑顔の法則”にも通じるところがある。CSファイナルS最終戦でDeNAの守護神・森原が登板中に笑顔だったことを指揮官は指摘。「勝負を楽しんでいるかのような表情になっているのを見て、『これが今の野球だ』と。勝負心をくすぐられ、笑顔が出るっていうのが、僕自身もあったので。それが力のある選手」。ドラ3右腕のスマイル投法は、球児イズムにマッチする。

 “笑うセールスマン”から猛虎の一員となる木下。「近い目標は開幕1軍。1年間で見ると新人王も狙いたいですし、長く見ると日本最速を目標にやっていきたい」。即戦力として聖地で笑顔を輝かせ、ルーキーイヤーから虎党を魅了する。

 【木下里都(きのした りと)アラカルト】

 ◆生まれ 2001年1月27日生まれの23歳。福岡県出身

 ◆家族構成 両親、兄、姉

 ◆サイズ 身長183センチ、体重90キロ

 ◆投打 右投げ右打ち。最速156キロ。変化球はカットボール、ツーシーム、カーブ

 ◆遠投 120メートル

 ◆足 50メートル走6秒02

 ◆球歴 小田部小1年から原北ウイングス少年野球クラブで野球を始める。原北中では白龍ベースボールクラブに所属。福岡舞鶴では主に遊撃手。福岡大1年夏から投手へ転向し、4年で初先発

 ◆好きな歌手 back number

 ◆特技 習字

 ◆趣味 釣り