秋季キャンプで、練習を見守る阪神・藤川監督(右)(C)Kyodo News

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◆ 秋季キャンプには近年では最多となる20人の投手が同行

 新生猛虎は早くも熾烈なサバイバルの気配が漂っている。

 2年契約が満了し今季限りで退任した岡田彰布前監督の後を引き継いだ藤川球児新監督は、11月に高知県安芸市で行う秋季キャンプで実戦を2〜3試合組む方針を明かした。

「自分の若い時を見ても、選手はアピールしたいと思いますけどね、正直」という指揮官の言葉通り若手選手にアピールの場を設けた形。

 佐藤輝明、中野拓夢らレギュラー組は更なる成長への期待感をファンに見せ、1軍未経験、経験の浅い選手は新監督の目に留まるような躍動を思い描く。

 注目したいのは投手陣だ。秋季キャンプには近年では最多となる20人の投手が同行。

 2年間ローテーションを守っている村上頌樹、救援でフル回転した桐敷拓馬、石井大智を除くほとんどの投手が紅白戦に登板すると見られる。

 安藤優也1軍投手コーチは実戦マウンドに送り込むメンバーに関しては「基本は先発として争ってもらう」と明言。

 それぞれに適性はあるとはいえ、まずは実績組を除いた若手が横一線で来季の先発ローテーション入りをかけた競争に臨む。

◆ 富田蓮ら若手も“先発転向”へ意気込む

 今季の1軍は20年に受けた右肘のトミージョン手術を受けた才木浩人がキャリア初めてシーズンを完走し13勝をマーク。22年オフに現役ドラフトで加入した大竹耕太郎も2年連続で2桁勝利を記録した。

 一方で昨季のリーグMVP・村上は7勝と成績を落とし、開幕投手を務めた青柳晃洋、1年目からローテ入りしてきた伊藤将司が2軍降格を経験するなど不振。この秋にアピールした若手が来春のキャンプで実績組と開幕ローテ入りを争うような構図になれば、先発陣の底上げに繋がる。

 選手たちも鼻息は荒い。今季、ブルペンの一角として33試合に登板し防御率0.76と存在感を示した2年目の富田蓮は“先発転向”へ意気込む。

「やっぱり先発の方が長い時間マウンドに立てる。自分のやりたい野球ができる場所。先発は挑戦できる限りやりたい」

 甲子園球場での秋季練習では、紅白戦登板を見据えて精力的にブルペン入りしており「先発の体に戻すじゃないですけど、ちょっとずつ球数を投げていけたら」と準備を着々と進めている。

 他にも高卒5年目シーズンを終えた及川雅貴や西純矢、1軍では中継ぎ起用がメインだった浜地真澄らも紅白戦での登板が見込まれている。

 実績組が意地を見せ、若手の台頭を許さないのか。それとも、ニューカマーが食い込むのか。2025年の開幕ローテーションの顔ぶれがどんなものになるか、今から楽しみだ。

文=遠藤礼(スポーツニッポン・タイガース担当)