4回、リゾを空振り三振に仕留め雄たけびを上げる山本(提供・共同通信社)

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 「ワールドシリーズ、ドジャース4−2ヤンキース」(26日、ロサンゼルス)

 ドジャースの山本由伸投手が先発し、6回1/3を1安打1失点でワールドシリーズの日本人投手では2007年のレッドソックス・松坂大輔以来となる勝利投手。さらに6回1/3の投球回も松坂を抜いて歴代最長となった。

 山本の真価が垣間見えたのは四回だ。直前にT・ヘルナンデス、フリーマンの2者連続アーチで3点の援護をもらった。スタントンから始まる四回、ギアを一段と上げた。

 スタントン、チゾムJr.をあっさりと打ち取ると、2死からリゾをスプリットで空振り三振に仕留めガッツポーズを繰り出した。試合の流れを呼び込むために重要なイニング。ここを三者凡退に仕留めたことで、主導権を引き込むことができた。

 五回も先頭のボルピーを空振り三振に仕留め、ウェルズも一ゴロに打ち取った。バーデューゴもアウトに仕留め、2イニング連続の三者凡退だ。六回も先頭のトーレスを打ち取り、ソトをあっさりと内野ゴロに。ジャッジに対してはボールが先行したが、しっかりと立て直し、スプリットで空振り三振に仕留めると絶叫した。

 七回は先頭のスタントンを打ち取ったところでロバーツ監督がベンチを出て交代を告げた。打者11人連続アウトの離れ業を見せ、ファンはスタンディングオベーション。壮大な「ヨシ」コールもあった。

 試合前のブルペンの段階からほどよい緊張感を感じているような表情を浮かべた右腕。初回は先頭のトーレスに対してカウント有利に進めたが、最後はフォーシームが高めに浮いて四球を与えた。続くソトにも低めの変化球に手を出してもらえず、フルカウントからのカーブで遊ゴロに打ち取ったが、走者は二塁へ進んだ。

 ジャッジに対してもフルカウントまで勝負がもつれたが、最後は内寄りのスライダーで空振り三振に仕留めた。4番・スタントンは初球のフォーシームを打たせて一飛に仕留め、鮮やかにピンチを脱した。スタンドからは大歓声が沸き起こり、直球とカーブのコンビネーションでしっかりと緩急が使えていた。二回は1死から四球を与えたが、後続をしっかりと打ち取った。

 エドマンの先制ソロで援護をもらった三回は、簡単に1死を奪って2巡目の上位打線へ。トーレスには痛烈なピッチャー返しをくらうも、グラブに当てて二ゴロに仕留めた。ソトには変化球を低めに集めて追い込んだが、高めのフォーシームを捉えられて右翼席へ同点ソロを浴びた。山本はぼうぜんと打球の行方を見つめたが、直後に打線がしっかりと援護してくれた。

 前日にはブルペン入りして最終調整した山本。「僕にとって初めてのワールドシリーズ。ベストを出して少しでも多くチームに貢献できるように」。ヤンキース相手には6月7日に敵地で7回2安打無失点、7奪三振と快投した実績もあるが「もちろん初対戦になるよりは多少、いいところもあるのかなと思いますけど、メンバーも変わって、ワールドシリーズなのでそう簡単にはいかない」と明かした。

 その次の試合で右肩を負傷し、長期離脱することになり「シーズン中に離脱している期間が長かったのでチームに貢献したい。離脱していただけに貢献したいなと思っています」という。「1年目からワールドシリーズの舞台で投げられることはうれしく思います」とリラックスした表情を見せた山本。「とにかくいつも通りの気持ちでマウンドに上がれるように」と意気込んでいた。