ワールドシリーズ初戦の延長10回、逆転サヨナラ満塁ホームランを放ち、ベッツ(左)に祝福されるドジャースのフリーマン(25日)=AP

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 25日(日本時間26日)にロサンゼルスで行われた米大リーグのワールドシリーズ初戦は、大リーグ史上初の幕切れとなった。

 ドジャースが延長十回、フリーマンの逆転サヨナラ満塁ホームランでヤンキースを6−3で撃破。大谷翔平らとのMVPトリオの一角、フリーマンが見せた意地の一振りだった。(デジタル編集部)

 延長十回表、ヤンキースは足を絡めて内野ゴロの間に1点を勝ち越した。その裏のドジャースの攻撃、一死から8番ラクスが四球を選び、リーグ優勝決定シリーズのMVP、エドマンがヒットでつないだ。ここで大谷の打球は左翼のファウルゾーンへ。これをフェンス際で好捕した左翼手が勢い余って、体ごと観客席へ飛び込んでしまい、ボールデッドとなって2人の走者が進塁。二死二、三塁と場面が変わった。

 ここでヤンキースベンチは、もう一人のMVPトリオの2番ベッツを申告敬遠し、フリーマンとの勝負を選んだ。点差はわずか1点、しかもマウンドには左腕のコルテスで当然とも言える策だが、目の前で申告敬遠を見た2020年のナ・リーグMVP選手の心はどうだったか。

 気合十分の35歳は、初球の内角低めの直球を強打。打った瞬間にそれとわかる打球は、右翼席中段に突き刺さった。大谷翔平も笑顔をはじけさせ、チームメイトとの歓喜の輪に入った。大リーグ公式サイトによると、100年以上続くワールドシリーズで、サヨナラ満塁本塁打は初めてだという。

 9月末に試合中の走塁で右足首をねん挫したフリーマン。ポストシーズンでは、相手投手が左腕の場合には、欠場することが多いなど、体調は万全ではない。それでもこの試合、2試合ぶりにスタメンに名を連ねると初回には右翼線への当たりで三塁を陥れる激走。さらに、試合を決める一打を十回に放つ千両役者ぶりを発揮した。

 大谷の「最高の勝ち方だった。最高のホームランだった」という言葉を待つまでもないような、ドラマチックな第一戦。フリーマン自身は試合後の記者会見で、ダイヤモンドを1周している時の感想を尋ねなれると「ふわふわしていて何も考えられなかった」と表現した。さらに、「ワールドシリーズの二死満塁は、5歳の時に裏庭で2人のお兄ちゃんと一緒に遊んでいた時に夢見ていた筋書きだ。それが現実のものにになり、サヨナラホームランだよ」と話した。43年ぶりの東西名門対決第1ラウンドは、ドジャースファンと実績抜群の名選手が大興奮する中、幕を閉じた。