ボーイングのロゴ=AP

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 【ニューヨーク=小林泰裕】米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは25日、業績不振が続く米航空機大手ボーイングが、宇宙船「スターライナー」を含む宇宙事業の売却を検討していると報じた。

 不採算事業を整理し、経営の立て直しを急ぐ狙いがあるとみられる。

 報道によれば、スターライナーのほか、国際宇宙ステーション(ISS)関連事業などが売却候補になっているという。検討は初期段階で、実現しない可能性もあるとしている。

 ボーイングは1969年の人類初の月面着陸の際に、アポロ11号を打ち上げるロケットを製造するなど、宇宙開発に長く携わってきた。しかし、ボーイングの防衛・宇宙部門は2024年7〜9月期決算で約24億ドル(約3600億円)の営業損失を計上した。開発の遅れなどで不振が続く。

 スターライナーは米宇宙飛行士2人を乗せて6月に打ち上げられたが、ISS到着時に機体トラブルが発生し、有人での地球帰還の断念を余儀なくされた。

 ボーイングは2018年と19年に発生した主力小型機の墜落事故以降、受注が減少し、5年連続の最終赤字に陥っている。今年9月からは16年ぶりにストライキが始まり、航空機生産の大半が停止している。財務基盤の立て直しのため、10月には全従業員の約10%にあたる約1万7000人を削減する方針を発表した。