好調な打撃でチームを引っ張る常葉大菊川の橘木(左)

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  秋季東海地区高校野球大会の準決勝が26日、草薙球場で行われる。常葉大菊川は、愛知・至学館との県1位対決(午前10時)に臨む。同地区から来春のセンバツ出場枠は「3」で、勝てば“当確”となる大一番。絶好調のリードオフマン・橘木千空(ちから)一塁手(2年)が活躍を誓った。もう1試合は大垣日大(岐阜1位)と岐阜第一(同3位)の同県対決で、決勝は27日に草薙で行われる。

 センバツ切符獲得へ、橘木が名前の通りに常葉大菊川の「チカラ」になる。今秋は県大会初戦から公式戦6試合で驚異の打率6割5分4厘をマーク。「打撃は絶好調です」と笑みがこぼれた。決勝進出なら、23年春以来の甲子園出場を大きくたぐり寄せる。「今までの結果は気にせず、どんどん振ってチームにいい影響を与えたい」と、目の前の試合に集中する。

 身長186センチと恵まれた体格の左打者。県初戦で打順が4番から1番になったのが転機になった。16強入りした今夏は主軸を任されたが、4試合で1安打のみ。守備練習時、石岡諒哉監督(35)には1人だけ打撃練習を指示された。

 新チームでも得点源と期待され、夏休みは毎日4時間ほど振り込んだ。だが秋季地区大会も結果がでない。「自分で流れが途切れてしまう。自信がなくなってしまった」と悩む姿を見かねた石岡監督が打順変更。するとフォームでトップの位置が安定し、復活した。指揮官は「これぐらいはやれる選手と思っている。常に4割以上を打てと言っている」と求めるレベルは高い。

 石岡監督にとって“直感”とも言える出会いだった。橘木が中学3年時に出場した全国大会を観戦。4番打者は勝負を避けられる打席が多く、出塁は四死球のみ。ただ、ネクストバッターズサークルでの姿と守備、存在感にひかれた。杉本陽介副部長(46)に「1回も(打っている)打席は見てないけど、いいと思います」と伝え、翌日の視察を依頼した。「打った姿を見ずに声をかけたのは橘木だけ」と明かした。

 主将になる前の昨年11月から学年別ミーティングを提案し、各自が課題と向き合う機会を設けた。「個性豊かな仲間なので、まとめるのは大変ですけど…」と苦笑。グラウンド内外で欠かせない大黒柱がセンバツへ導く。(伊藤 明日香)

 ◆橘木 千空(たちばなき・ちから)2007年9月26日、福井・小浜市生まれ。17歳。小1から京都の向島シャークスで野球を始め、中学では京都ベアーズでプレー。186センチ、87キロ。左投左打。家族は両親、兄。