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気分が華やぐ春は、新しいことを始める好機です。このタイミングに、なんとなく続けていた人間関係や生活のルール、家事、お金のことを見直してみませんか?今の自分に本当に必要なものは何なのか。毎日を心地よく過ごすために、自分にとって何が必要で何がいらないと考えているのでしょうか。『婦人公論』の読者アンケートでお聞きしました。(構成◎村瀬素子)

B子さんの家計簿、収入・支出の内訳は…

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世代別・読者の家計公開&お金のプロがアドバイス

【B子さん(70歳・離別)の家計簿】


B子さん(70歳・離別)

居住地域: 岩手県
同居家族:なし
貯蓄額:150万円

不要な支出を見極め、趣味のお金を確保

15年前に離婚し、現在は8年前に購入したマンションに一人で暮らすB子さん。公的年金9万円とパート代5万円、合わせて月14万円で生活している。収支はやや赤字だが、「上手にやりくりしていますね」と、深田さんは太鼓判を押した。

「良い点を挙げると、一つは交際費。義理のつき合いをやめて、冠婚葬祭費にお金を使わないようにしているようです。一方、月1回は友人と会食し、予算の都合で誘いを断ってもこまめにLINEで連絡を取り、大切な人とのつき合いを維持。こうしたメリハリのあるお金の使い方は、限られた生活費で人生を楽しむコツでもあります」

B子さんは、昨今の物価高騰にも柔軟に対処。これまで3品だったおかずを2品に減らし、1品に入れる野菜の種類を増やす。服は極力買わず、娘のお古の中から似合うものをもらう。民間の生命保険は解約――など。自分にとって不要なものをそぎ落として出費を抑えている。

「ただ節約するのではなく、趣味であるフォークダンスサークルの会費2万円は、譲れない支出として確保。B子さんの一番の楽しみであり、健康のもとでもあるのですね。生きがいにもつながる出費は、度を越さなければ我慢する必要はありません。

また、無農薬の食材を定期購入するなど、健康への意識の高さがうかがえます。医療費がゼロというのも、家計には大きなメリットです」

健康を維持することが何よりの節約

お金の使い方に関して二重丸をもらえたとはいえ、B子さんは「住居費が高く、働けなくなったときが心配」と話す。

深田さんは、「マンションのローン返済が終わるのが、79歳とのこと。それ以降は住居費の負担が減りますから、あと9年をどう暮らしていくか考えましょう」と、次のように提案。

「元気なうちは仕事を続けて、今の家計収支を維持するのがベター。そしていよいよ働けなくなった場合は、2人の娘さんにお願いして返済を負担してもらうのはどうでしょう。仮に75歳で仕事をやめたとすれば、残り4年。ローン残高は170万円ほどです。その借りは、B子さんが亡くなったあとに相続した娘さんがマンションを売却することで、返すことができます」

B子さんの場合、熟年離婚に踏み切ったのも、中古マンションを購入したのも、娘さんたちが背中を押してくれたから。親子関係が良好なので、最後の砦として頼ることはできそうだ。

「B子さんは、これ以上支出を抑える努力はしなくてもよいでしょう。元気なうちは仕事や趣味、友人との交流などアクティブに動いて、健康を維持することが何よりの節約になります」