バルセロナのロナウジーニョが、監督業に目覚めたようだ。英国大衆紙『ザ・サン』の取材に応じたブラジル代表のスターは、ある意外な人物の影響で、現役引退後に指導者の道を歩む決意を固めたという。その人物とは、現在フットボールリーグ・チャンピオンシップ(実質2部)のサンダーランドで指揮を執るロイ・キーンだ。

 マンチェスター・ユナイテッドで長年キャプテンを務めたキーンは、昨シーズン在籍したセルチックで現役を引退。今年8月に、サンダーランドの監督に就任したばかりだ。しかし、現役時代に対戦経験もあるロナウジーニョは、一流選手として名を馳せたキーンが、監督業でも成功を収めると確約する。

「キーンが監督でもトップクラスを目ざすのは自然なことだよ。だって、彼は本当に素晴らしい選手だったからね。選手時代にトップレベルを経験している監督は、プレーヤーの心理状態が分かるはず。特に、厳しい試合でこそ、そういった経験は役に立つと思う。僕は、選手経験のない監督の下でプレーしたこともあるし、中にはいい監督もいる。でも、やっぱりトップレベルでプレーしている経験は大きいね」

 さらに、“闘将”に触発されたロナウジーニョは、現役引退後の監督転向を心に決めたようだ。

「指導者の道を選ばない選手もたくさんいるし、その理由もさまざまだ。でも、僕はロイみたいになりたい。現役当時の彼は、サッカーに対する情熱と喜びをピッチ上で表現していた。その点では、僕もまったく同じ。僕たちにとって、サッカーはかけがえのないものなんだ。現役引退後は、指導者の勉強をして、監督になりたいと思っている」

 闘争心を前面に押し出し、鬼気迫る表情でチームを統率したキーンに対し、笑顔を絶やさず、天才的なプレーで観客を楽しませるロナウジーニョ。スタイルのまったく異なる2人だが、心に秘めた「情熱と喜び」は同じ。彼らなら、『名選手、必ずしも名監督に非ず』の定説を覆してくれるだろう。