J1昇格PO争いのJ2モンテディオ山形!大卒ルーキーDF相馬丞が負傷者相次ぐ最終ラインに名乗り

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J2モンテディオ山形は16日、アウェー・清水エスパルス戦(20日午後1時10分、静岡・IAIスタジアム日本平)に向けて山形県天童市内で練習を行った。山形アカデミー出身で仙台大を経て今季加入した大卒新人DF相馬丞(じょう)が負傷者が続出している最終ラインの先発争いに意欲を見せた。

アカデミー出身の期待の大卒ルーキー

この日行われたミニゲームではボールホルダーに、相馬が素早く身体を寄せて攻撃を阻止するなど身体能力の高さを見せてアピールした。

ミニゲームで素早い寄せを披露した相馬(右)

出足の速いスプリント、185センチの高身長と優れた跳躍力を生かした空中戦の強さと仙台大時代は、全国でも注目されるフィジカルモンスターだった。昨年3月にアカデミー時代に過ごした山形から加入内定が発表された期待の生え抜きセンターバックだ。

「清水は個の力も強くて、すごくやりがいがありそうだと思っています。(元)日本代表の乾(貴士)選手もそうですけど、前線の外国人選手と自分の個の能力が差があるのか、差がないのか。そこはやってみないと分からないので、すごく楽しみにしています」と意気込んだ。

J1昇格プレーオフ(PO)圏内6位を目指す7位山形は、現在6位ベガルタ仙台と勝点1差に付けている。リーグ戦5連勝中とハイペースで勝点を積み上げているが、最終ラインにアクシデントが続出している。

山形は6月にDF熊本雄太が右腓骨(ひこつ)筋腱(けん)断裂で全治約5カ月の長期離脱となり、今月6日には今季リーグ戦33試合先発出場の主力センターバックDF西村慧祐(けいすけ)がトレーニング中に負傷し、第5中足骨骨折により全治約3カ月のケガを負ったと発表された。

そして前節レノファ山口戦でセンターバックとして先発出場していたDF安部崇士(たかし)が後半7分に担架で運ばれて負傷交代を強いられた。

そのため山形のセンターバック陣は手薄な状況であり、ポジション奪取のチャンスが相馬に訪れている。

サーキットメニューで鋭い加速を見せた相馬

「西(村)くんがここまでやってきてくれたから、(いまの)成績があると思うんですけど、自分はここからがチャンスなので負けずに頑張りたいです」とルーキーは先発争いに闘志を燃やした。

10季ぶりのJ1復帰に向けて2位清水との一戦に勝利してJ1昇格PO圏内に食い込みたい。今季リーグ戦64ゴールとJ2全20チーム最多の総得点数を誇る清水と渡り合うには守備の安定が必要不可欠だ。

そのため負傷者が相次ぐディフェンスラインに懸念はあるが、突出した潜在能力を秘める背番号29の抜てきに期待したいところだ。

立つんだ丞

今季の相馬はJリーグYBCルヴァンカップ1試合、リーグ戦1試合の公式戦計2試合に出場した。

3月13日にリーグ杯1回戦J3カターレ富山戦でプロデビューし、5月6日の第14節アウェー山口戦でリーグ戦初出場を果たした。両試合で先発出場と順風満帆なスタートを切ったかに見えたが、その後は試合に絡む機会がなかった。

ミニゲームで粘り強い守備を見せた相馬(右)

「いい波が来ているときに2、3カ月ぐらいの離脱をしてしまったので、そういうところを含めたらケガがなければ、上まで行けたかなと思っています。いまは身体が動くようになってきたぐらいなので、ここからまたコンディションを上げていきたいです」と振り返った。

激しい競争、負傷離脱も重なって思い描いた活躍を披露できていない相馬だが、闘争心は潰えていない。仙台大時代も度重なるケガにより大一番で出場機会を逃した過去もあったが、何度も谷底からはい上がるように復活を果たして並外れたパフォーマンスを見せてきた。

「自分の持ち味は対人なので、もっと強みを出して圧倒的になっていくべきと思っています。試合に出て(成長の)実感がついてくるのかなと思っていて、その中でまだ試合に出られていないので、残りの試合に出て『自分が成長している』という実感をしていきたいと思います」と言葉に力を込めた。

身体能力以外にも、飛距離と精度に秀でたロングフィードなど足元の技術も光るものがあり、攻守に大きなポテンシャルを秘めている逸材だ。悲願だった古巣復帰を成しとげた期待の新人は可能性ではなく、結果で示そうと高いモチベーションを見せている。

柔らかいタッチから正確なパスを出した相馬

「自分にとって残りの試合に出られるか、出られないかで自分の評価と自信も変わってきて次につながってくると思う。メンタルの部分も含めて負けずに強気でやってきたいです」と決意を口にした。

これまで何度も悔しい思いを重ねてきた相馬。高校3年時は天皇杯でベンチ入りを果たすも、トップチーム昇格を見送られた。そして仙台大時代は度重なる負傷により、何度も苦しい時期を過ごした。

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だが背番号29は何度も立ち上がり、奮闘してきた。立つんだ丞、今季重ねてきた悔しさを次節清水戦にぶつけて2021年シーズン以来のリーグ戦6連勝に導く。

(文・撮影 高橋アオ)