最貧国26カ国、財政状況が2006年以降で最悪=世銀報告書

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David Lawder

[ワシントン 13日 ロイター] - 世界銀行が13日に発表した報告書によると、貧困層の40%を占める最貧国26カ国は2006年以降で最大の債務を抱えており、自然災害やその他の衝撃に対してますます脆弱になっている。他国がコロナ禍からほぼ回復し、成長軌道に戻ったにもかかわらず、貧困国はコロナ禍前よりも貧しくなったという。

米首都ワシントンで世界銀行と国際通貨基金(IMF)の年次総会が始まる1週間前に発表されたこの報告書は、貧困撲滅の取り組みが大きく後退していることを示しており、最貧国への融資基金である国際開発協会(IDA)を補充するために今年1000億ドルを調達するという世銀の取り組みを強調している。

最貧国26カ国は一人当たり年間所得が1145ドル未満。市場から調達する資金がほぼ枯渇したため、IDAの補助金や金利がほぼゼロの融資に一段と依存している。これらの国の平均債務の対国内総生産(GDP)比は72%で、18年ぶり高水準。約半数の国が債務危機に陥っているか、そのリスクが高い状態という。

調査対象国のほとんどはエチオピアからチャドコンゴに至るサハラ以南のアフリカ諸国だが、アフガニスタンやイエメンもリストに含まれている。

報告書によると、最貧国26カ国のうち3分の2は武力紛争状態にあるか、制度的・社会的脆弱性のために秩序維持が困難な状況になっており、外資やほぼ全ての輸出品が阻害され、好況と不況のサイクルが頻繁に繰り返されている。

世銀のチーフエコノミスト、インデルミット・ギル氏は「世界の多くが最貧国から手を引いていた時代にIDAは彼らの生命線となってきた」とし、「過去5年間、IDAは26の低所得国に資金の大部分を注ぎ込み、これらの国が経験した歴史的な挫折を乗り越えられるよう支えてきた」と強調した。