大胆予想! 「もしトラ」「もしハリ」それぞれのシナリオで「買っておきたい米国株」

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はじめに

2024年の米国大統領選挙が迫る中、カマラ・ハリスとドナルド・トランプのどちらが次期大統領に選ばれるかで、米国の経済政策や外交政策が大きく変わり、特に株式市場に与える影響が注目されています。ハリスは中間層の支援とクリーンエネルギーの推進に力を入れ、トランプは減税や規制緩和を中心にした政策で経済成長を目指しています。

一時は銃撃事件の影響でトランプ確定かと思われた大統領選挙ですが、最新の世論調査を見る限りは大接戦の展開となりそうです。

そこで今回は、それぞれの政策が米国株式市場にどのような影響を与えるか、各分野に分けて分析し、米国株トレンドを考えてみたいと思います。

経済政策および財政方針に関して

【ハリス大統領のシナリオ】

ハリス氏の経済政策は、中間層を支えることが主な焦点です。

彼女は最低賃金の引き上げや労働者の権利拡大を重視し、法人税を28%に引き上げることで、富裕層や大企業からの税収を増やし、インフラ投資や環境政策に資金を振り分ける方針を示しています。また、年収40万ドル未満の人々には増税しないと公約しており、中間層の購買力を維持することが狙いです。

これにより、インフラ関連やクリーンエネルギーのセクターが恩恵を受ける一方、法人税引き上げが大企業の収益に負担をかける可能性があり、短期的には一部の株価に悪影響を与えるリスクがあります。

【トランプ大統領のシナリオ】

トランプ氏が再選された場合、彼は減税を軸にした経済政策をさらに推進するでしょう。

法人税を現行の21%に維持し、個人所得税の減税も進める予定です。これにより、企業の収益が拡大し、特に金融業や消費財関連の株価が上昇すると予想されます。

トランプ氏はまた、チップや社会保障給付金への課税を廃止することを目指しており、消費者の購買力を高め、経済全体を押し上げる可能性があります。

エネルギー戦略に関しての見解

【ハリス大統領のシナリオ】

ハリス氏は気候変動を最重要課題と位置付けており、クリーンエネルギーへの投資継続を行う方針です。特に、2045年までにカーボンニュートラルを実現することを目指しており、再生可能エネルギー関連の企業、太陽光発電や風力発電、電気自動車(EV)関連の株価には大きな成長機会があると考えられます。

一方、石油やガスのような化石燃料に依存する企業は、規制強化の影響を受ける可能性が高く、これらの業界には逆風が予想されます。

【トランプ大統領のシナリオ】

トランプ氏が再選された場合、化石燃料産業の復興が進む可能性が高く、シェールガスや石油の生産を増やし、エネルギーコストを1年以内に半額まで引き下げることを目指しています。これにより、石油やガス関連企業の株価が上昇し、エネルギーセクター全体にプラスの影響が期待されます。

またパリ協定からの再度の脱退を含み、エネルギー市場の自由化を進める方針です。

対外貿易政策についての見解

【ハリス大統領のシナリオ】

ハリス氏は、自由貿易を重視しつつも、中国に対して厳しい姿勢を保ちます。彼女はトランプ政権が進めた一部の関税措置を見直す一方で、テクノロジーや半導体分野での競争を強化する方針です。これにより、米国のテクノロジー関連企業は恩恵を受ける可能性が高いですが、中国市場への依存度が高い企業にはリスクが残ります。

【トランプ大統領のシナリオ】

トランプ氏は再選後も保護主義的な貿易政策を推進するでしょう。彼は中国との貿易摩擦をさらにエスカレートさせ、追加関税を導入する可能性が高いです。これは米国の製造業にとっては短期的なリスクとなる一方で、国内市場向けの製品を扱う企業には有利に働く可能性があります。

ちなみに両候補ともTPP(環太平洋パートナーシップ)に復帰しない姿勢を明確にしています。

ハリス、トランプが大統領になることで恩恵を受けやすい銘柄

【ハリス大統領誕生で恩恵を受けやすい銘柄】

電気設備・グリッド会社

イートン(ETN)、クアンタサービシーズ(PWR):再生可能エネルギーのインフラ整備で成長が期待されます。

水素生産会社

エアープロダクツアンドケミカルズ(APD):水素エネルギー分野での政策推進が利益に。

エネルギー効率企業

ジョンソンコントロールズ(JCI):エネルギー効率化政策により、需要が拡大。

廃棄物処理会社

ウェイストマネジメント(WM):環境対策の強化で恩恵を受けやすい。

再生可能エネルギー企業

ファーストソーラー(FSLR)、ネクステラエナジー(NEE):再生可能エネルギー投資拡大が追い風になる。

【トランプ大統領当選で恩恵を受けやすい銘柄

トランプ関連企業

トランプ・メディア・アンド・テクノロジー(DJT)、Phunware(PHUN):メディア・テクノロジー分野での成長が見込まれる。

金融業

JPモルガン(JPM)、バンク オブアメリカ(BAC)、ゴールドマンサックス(GS):金融緩和と規制緩和が追い風に。

天然ガス生産会社

シェニエールエナジー(LNG)、エクソンモービル(XOM)、コノコフィリップス(COP):化石燃料推進政策で注目を集める。

仮想通貨マイニング

マラソンデジタル(MARA)、ライオットプラットフォームズ(RIOT):規制緩和による仮想通貨市場の拡大。

関税の恩恵を受ける狙い目企業

テキサスインスツルメンツ(TXN)、ニューコア(NUE):国内製造業支援政策が恩恵を与える。

医療保険・製薬会社

ユナイテッドヘルス(UNH)、ヒューマナ(HUM)、イーライリリー(LLY)、メルク(MRK):トランプ政権の場合、規制緩和と市場の自由化により、医療保険や製薬業界にもプラスの影響が期待され、これらの企業が大きな恩恵を受ける可能性がある。

中東情勢についての見解

【ハリス大統領のシナリオ】

ハリス氏は中東政策において、引き続きイスラエルとの強い関係を保ちながらも、人道支援を強化し、平和的な解決を目指す方針を掲げています。軍事的な関与を減らし、外交による解決を優先する姿勢が防衛関連株に限定的な影響を与える可能性がありますが、インフラ再建や人道支援関連企業にとっては新たな機会となるかもしれません。

またバイデン大統領よりもイスラエル軍の攻撃に批判的であるという指摘もあります。

【トランプ大統領のシナリオ】

トランプ氏はイスラエルとの関係を強化し、軍事的支援を拡大する可能性が高いです。彼は「歴代で最も親イスラエルの大統領」を自称しており、防衛関連企業にとってプラスとなるでしょう。また、中東諸国との関係改善を進め、エネルギー市場の安定化を図るための政策も重視しています。

ウクライナ・ロシア・NATO(北大西洋条約機構)との関係

【ハリス大統領のシナリオ】

ハリス氏はバイデン政権の政策を引き継ぎ、ウクライナ支援とロシアに対する厳しい制裁を維持する方針です。彼女はNATOを重視し、同盟国との関係を強化し続けると見られます。特に、ウクライナ支援に対する積極的な姿勢が防衛関連株にポジティブな影響を与える可能性があります。

【トランプ大統領のシナリオ】

トランプ氏はウクライナ支援に対して消極的であり、NATOのあり方についても見直しを求めています。彼はアメリカが防衛費の負担を過度に負っているとし、NATO加盟国により多くの負担を求めるでしょう。これにより、米国の防衛関連企業への影響は限定的ですが、ヨーロッパの防衛産業にとっては新たな成長機会となるかもしれません。

中国・インドとの関係

【ハリス大統領のシナリオ】

ハリス氏は、中国との競争において、経済的な関係を維持しつつリスクを減らす「デリスキング」政策を進める一方で、技術分野での米国の優位性を確保するための措置を強化するでしょう。特に、AIや半導体の分野では、日本やオーストラリア、インドとの協力を重視し、インド太平洋地域での影響力を高めるとしています。これにより、テクノロジー関連株が恩恵を受ける可能性があります。

【トランプ大統領のシナリオ】

トランプ氏が再選された場合、対中政策はさらに強硬なものとなるでしょう。彼は「中国に対抗するためのインド太平洋戦略」を推進し、貿易や軍事における中国の影響力を抑え込む方針を掲げています。これにより、米国の製造業や軍事関連企業にはプラスの影響が期待されますが、中国市場に依存するテクノロジー企業にはリスクが残ります。

台湾有事について

【ハリス大統領のシナリオ】

ハリス氏は「1つの中国」政策を継続しながらも、台湾に対する防衛支援を強化する方針を示しています。彼女は、台湾の安全保障を強化し、米国の軍事的関与を高めることで、地域の安定を図るとしています。このため、防衛関連株にはポジティブな影響が期待されます。

【トランプ大統領のシナリオ】

トランプ氏は台湾に対しても強い支持を示しており、武器売却などの支援を拡大する見通しです。彼は中国に対する強硬姿勢を崩さず、台湾の防衛力強化を重視するでしょう。このため、防衛関連企業や半導体産業にはプラスの影響が出る可能性があります。

日本との関係について

【ハリス大統領のシナリオ】

ハリス氏は、バイデン政権の「日米同盟の強化」を引き継ぎ、日本との防衛協力をさらに深化させる方針を示しています。

特に、中国の台頭に対する牽制として、日米同盟が重要な役割を果たすと考えており、日本との経済協力や安全保障の連携を強化することで、米国製の防衛関連企業にプラスの影響が出る可能性があります。

【トランプ大統領のシナリオ】

トランプ氏は日本との防衛関係を重視する一方で、言及こそしていませんが、さらに防衛費の負担を増やすことを求める可能性もあります。

経済面では、日本との貿易不均衡を是正するために再び関税を引き上げる可能性があり、これは日本企業や米国の消費者に影響を与える要因となる可能性が高いです。

人工妊娠中絶について

【ハリス大統領のシナリオ】

ハリス氏は中絶の権利擁護を強く主張しており、全米で中絶を合法化するための連邦法の制定を目指しています。彼女の政策はリベラルな有権者に支持されており、ヘルスケア関連株にはポジティブな影響が予想されます。

【トランプ大統領のシナリオ】

トランプ氏は「プロ・ライフ(生命擁護)」を強調しており、中絶に反対する立場を取っています。ハリス氏はトランプ大統領時代に指名した保守派判事によって、結果的に中絶の合法性が見直される可能性が高まったと指摘しています。一方で、2024年4月には、一部の保守派が主張する全米での一律規制ではなく、中絶に関しては各州が独自に判断すべきだという見解を示しました。

投資家はどちらのシナリオも想定しておくべき

大統領選挙の結果次第で、米国の政策は大きく変わり、それに伴って株式市場も大きな影響を受けます。

どちらのシナリオでも、特定の業種や企業が大きな恩恵を受ける一方で、リスクも存在するため、投資家はそれぞれのシナリオに応じた柔軟な投資戦略を構築することが重要です。ハリス政権下では環境関連株やインフラ株に、トランプ政権下ではエネルギー関連株や金融・保険関連株に注目しながら、ポートフォリオを多角化させることも選択肢に入れるべきでしょう。

おわりに

ハリス氏とトランプ氏、それぞれの政策が株式市場に与える影響は大きく異なります。

ハリス氏は中間層の支援やクリーンエネルギーの推進を重視しており、環境技術やインフラ関連株にポジティブな影響を与えるでしょう。一方、トランプ氏は減税や規制緩和、エネルギー産業の復興を中心に据えており、製造業や防衛関連企業に好影響をもたらすことが予想されます。

いずれにしても、投資家は次期大統領がどちらに決まるかによって、戦略を柔軟に調整する必要があり、政策動向に注意を払いながらポートフォリオを見直すことが重要です。

米国や世界経済にどんな未来がやってくるのか、私たちの生活にも影響を与える米大統領選挙、筆者自身、しっかりと結果を見届けたいと思います。

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