能登半島 地震と豪雨“二重被災”の悲劇…集中豪雨と闘う!:ガイアの夜明け

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10月11日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは「集中豪雨が多発!各地を襲う浸水被害に挑む…闘う熱血漢に密着!」。
元日の大地震から立ち直ろうとしていた能登地方を、今度は集中豪雨が襲った。異常気象が日常になりつつある中、東京都心でも浸水被害が発生するなど、各地で危険性が高まっている。そんな豪雨に立ち向かい、災害を未然に防いだり、被災者の安全を守ったりするために奮闘する人たちの姿を追った。

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二度の大災害を乗り越えられるか…輪島信金職員の奮闘



9月21日、北陸・石川県に大雨特別警報が発表された。輪島市では猛烈な雨が降り続き、24時間の雨量は400ミリ超え。観測史上最大の大雨で川は氾濫し、町は濁流に飲み込まれた。あの能登半島地震から9カ月…復興道半ばの被災地で、またしても多くの尊い人命が失われた。


能登半島地震の後、ガイアが取材したベーグル店「こめとわとベーグル」(輪島市)も被害に遭っていた。山下祐介さん(38)は、震災のわずか半年前に念願のベーグル店をオープン。地震の被害で店は休業に追い込まれたが、そこに追い打ちをかけたのが、想定をはるかに上回る記録的な豪雨だった。

「お店に直接的な被害がなかったのは不幸中の幸いですけど。弱ったなって感じですね、ホントに…」。

山下さんの店は浸水を免れたものの、元日の地震により、店の目の前で起きた崖崩れが今回の豪雨でさらに拡大。店の裏手の道路も新たに陥没し、四方で土砂災害に見舞われていた。


山下さんは、輪島で米の栽培もしているが、地震の後、やっとの思いで作付けをした稲は、押し寄せた水になぎ倒されていた。「『神様は試練を乗り越えられる人にしか与えない』と言うけど、そんなことはない。なんでと言いたくなる。なんでまた能登に…」。


地震と豪雨の“二重被災”となってしまった輪島。その輪島で暮らす人たちを支えようと奮闘しているのが、ガイアが5月に取材した「のと共栄信用金 輪島支店」の支店長・堂角清志さんだ。堂角さんは、震災直後から取引先の被害状況と資金繰りの確認に追われていた。
輪島では、6月時点でも半分以上の事業者が再開できない状態。輪島で生まれ育ち、「この町を元気にしたい」という一心でまい進してきた堂角さんは、取引先を回り、再建の支援に奔走していた。


9月27日。堂角さんは、信金の職員たちと、豪雨で被災した包装資材店「三辻󠄀商店」の倉庫へ出向き、みんなで泥かきの手伝いをしていた。店を営む三辻󠄀敬さんによると、「被害総額はざっと700〜800万円」。震災後、堂角さんの支援で再建が軌道に乗り始めた矢先の水害だった。
堂角さんは、「今まで『なんとか輪島でやろう』と思っていた人が『これはもうダメだ』と思って輪島を出て行くことが一番心配。協力してほしいことがあったら、できる限りするつもり」と話す。

浸水被害から住宅や企業を守る「みずからまもる君」




異常気象が全国で常態化し、日本全国で豪雨被害が頻発している。2013年から10年間の水害の被害額は、7兆円以上(出所:国交省)に達していた。
今年も台風10号の影響で新幹線が3日間運休。さらに神奈川県の国道246号で斜面が崩壊し、東京と静岡を結ぶ大動脈が、10日間にわたり寸断された。
東京23区でもゲリラ豪雨が度々発生。新宿ではマンホールから大量の水が吹き出し、地下鉄にも水が流れ込んだ。短時間の集中豪雨で、多くの店舗が浸水被害に。

いつどこでも起こりうる水害に向け、注目が高まっているのが防災グッズだ。ホームセンターで開かれた防災フェスで、ひときわ関心を集めていたのが、浸水被害を食い止める「みずからまもる君」。


ワンタッチで連結できるプラスチック製の止水板で、土のうの代わりに建物の入口などに設置する。水位30センチまで浸水を防ぎ、水漏れは土のうの40分の1だという。
秘密は背面と底面に取り付けたゴム製のパッキンで、これが水の重さを利用して接地力を高め、隙間を埋める。
去年販売を始めた「みずからまもる君」は、今年すでに5000台以上を出荷。能登半島豪雨の後は、注文が急増している。


「みずからまもる君」を開発したのは、自動車を中心に、ゴムやプラスチック部品の開発・受託製造などを行う「ゴムノイナキ」(愛知・名古屋市 創業1919年)。開発者の小山俊一さん(45)は入社12年目で、2年前、新商品開発の担当に抜てきされた。小川さんは、「本業を通じた社会貢献。そういった意義を兼ね備えた商品をリリースしていくのが我々の使命」と話す。

この日、小山さんが訪ねたのは、金属加工「明和」(愛知・安城市)の工場。なだらかな坂の下に倉庫があるため、大雨が降るたび浸水被害が多発していた。
小山さんは、早速「みずからまもる君」を設置する。すると、約1分でシャッター前をふさぐことができた。


「明和」の小川新之助さんは、「かなり軽くてフレキシブルに対応できるのが素晴らしい」と絶賛し、導入が決まった。


北陸を中心に950店以上を展開する大手ドラッグストア「クスリのアオキ」の本社(石川・白山市)では、去年から水害対策として「みずからまもる君」の導入を始めている。
だが、震災の対応に追われた輪島店ではまだ導入しておらず、能登での記録的な豪雨によって被害を受けてしまった。
防災対策の強化を急ぎ「みずからまもる君」の導入拡大を考えていた「クスリのアオキ」。そこで小山さんは、商談の場に、新たに開発した対策グッズを持ち込んで提案する。

水害から命を救え! 独自開発のボートで挑む熱血漢




7月26日。山梨・山中湖村に住む佐々木甲さん(67)は、豪雨災害のニュースを見つめていた。7月25日に大雨特別警報が出された山形県は、記録的な豪雨に襲われていた。
「やっぱり行かないとダメだな」と佐々木さん。




佐々木さんは水害から救助するためのエアボートを開発している。エアボートの動力は巨大なプロペラで起こす風。スクリューが使えない場所でも威力を発揮する。
「救助艇が目の前にあるのに、テレビでその状況を見ているのは嫌なもの」。
いてもたってもいられない佐々木さんは、急いで山形に向かうことにした。これまでも水害があれば、そのたびに現場に駆けつけてきたのだ

ガイアでは2013年に、救助専門のエアボートづくりに挑む佐々木さん(当時56歳)に密着していた。その開発のきっかけは東日本大震災の津波で友人を亡くしたこと。津波や水害に負けない救助専門艇を造るため、悪戦苦闘していた。


そして2019年、台風による大雨で長野県の千曲川が氾濫。そこでエアボートが真価を発揮する。いち早く災害現場に乗り込んだ佐々木さんは、エアボートで水や泥がたまったアスファルトの上を突き進む。孤立していた人たちを助け、水害の現場で存分にその力を示したのだ。

7月27日。佐々木さんはエアボートを荷台に載せたトラックを運転し、12時間かけて山形の被災地へ向かった。浸水被害をうけた戸沢村の中心地は、佐々木さんが到着した時点ではすでに水が引いていたため、他に孤立した地域がないか、下流へ向かう。


ところが、進むべき道が土砂でふさがれていた。エアボートの重量は1.3トン。その重さと大きさがネックとなり、そこから先には進めなかった…。
悔しさを胸に山形から戻った佐々木さんは、今までにない新たな船の開発に乗り出していた。


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