【秋華賞/全頭診断】チェルヴィニアに“バグッた数字”該当で鉄板級か 前哨戦勝ち馬には「0.0.1.3」の黄色信号

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今週は京都競馬場で、第29回秋華賞(GI、芝2000m)が行われる。この世代の牝馬GIはすべて異なる勝ち馬が輩出。秋の京都を舞台にした本レースはどのような結末が待ち受けているのだろうか。
ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬15頭の全頭診断を行う。

■秋華賞2024 出走予定馬全頭診断

・アドマイヤベル

アーモンドアイ、クロノジェネシス、リバティアイランドなど、オークスから直行ローテで好走した馬は同レース3着内馬に限定。初の右回り・関西圏への輸送と課題を残すここは厳しい戦いが予想される。

・クイーンズウォーク

前走ローズSの全頭診断で「前哨戦の舞台でこそ評価を上げたい」と記した馬。それに応える結果を残したわけだが、今回は休み明け2戦目かつ大幅なメンバー強化で迎える一戦となる。3歳秋のトライアル重賞で2着内だった中内田厩舎の10月GI成績は【0-0-1-3】。前哨戦→本番でパフォーマンスを落とす傾向にある点は注意したい。

・クリスマスパレード

1分56秒6のレコードで駆け抜けた前走紫苑S。先行抜け出しの王道競馬で差し馬勢の追撃をしのいだレースは高く評価すべきだろう。右回りでは【3-0-0-0】と負け知らず。レコード駆けの反動と初の関西圏は不安材料も、何らかの印は必要か。

・コガネノソラ

これまで挙げた4勝中3勝が稍重という馬。時計のかかる馬場なら買い要素はあるが、好天が予想される今週末の京都芝が合うとは思えない。

・ステレンボッシュ

阪神JF、桜花賞、オークスと牝馬GI全レースで連対を確保。この路線における安定株で、近年は春の勢力図が変わりにくい秋華賞のレース性質から今回も大崩れは考えにくい。ただ、気になるのは中間の追い切り。お世辞にも絶好調と言える動きには映っておらず、使われるたびに減り続ける馬体重も成長力への疑問を生じさせるものとなる。実績と能力は申し分ないものの、本命の印を打つには勇気がいる印象だ。

・セキトバイースト

前走ローズSはトライアル特有の前残り決着。その展開を存分に活かし切った好走をはたしたのが同馬だ。当時ほどのトラックバイアスを得られるとは思えないし、時計を要する馬場が合うタイプ。高速馬場想定の日曜京都もマイナス材料と言える。

・タガノエルピーダ

秋初戦の前走ローズSは4着。オークスの結果と合わせて底が見えたのでは……と思ってしまうところだが、当時は道悪かつ左回りの影響もあったのだろう。右回りの良馬場芝は【2-0-1-0】馬券外なし。唯一の敗戦は牡馬相手の朝日杯FSで、ジャンタルマンタルと0秒2差なら評価は下がらない。忘れな草賞と同じ小回りコース、2歳時と同じ坂路中心に切り替えた中間の調教パターンも功を奏しそうな穴馬候補だ。

・チェルヴィニア

京都開催の2012年以降、オークスを上がり3F最速で制した馬は【6-0-0-0】。同レースで切れ味を発揮して勝った馬の信頼度は極めて高いとのデータだ。右回りかつ関西圏の桜花賞惨敗は気になるところだが、栗東滞在の当時から今回は直前輸送へと変更。ウッド6Fで79秒台の自己ベスト更新と状態も申し分なく、本命級の評価も考えたい1頭だ。

・チルカーノ

新馬戦を含めた休み明けの成績【3-0-0-0】に対し、叩き2戦目は【0-0-0-2】。当舞台の2走前は今回と同じレース間隔で8着に敗れており、強調材料は乏しい。

・ボンドガール

クイーンS→紫苑Sと距離延長で好走を続ける近走。マイラーの印象を覆す好パフォーマンスだが、その代償として先行力を失ってしまった点は気がかりだ。直線の短い京都芝内回りコースで直線一気、大外一気はほぼ不可能。前走減った馬体重を戻しつつの調整を強いられることも含め、今回は“消し”の選択肢が頭をよぎる。

・ホーエリート

芝2000mの成績は【0-0-0-3】。変わり身を望むのは酷に映る。

・ミアネーロ

上がり3F33秒0の脚で勝ち馬とタイム差なしに迫った前走紫苑S。馬券内3戦すべて中山芝という舞台巧者ぶりを改めて示すレースだった。当時もフラワーCもそうだったが、道中はインで脚を溜めて馬群を縫うように抜け出すのがこの馬のスタイル。枠順次第で評価を変えたいところだ。

・ラヴァンダ

近走先着を許した馬が複数出走するメンバー構成。厳しい印象は否めない。

・ラビットアイ

未勝利戦の勝ち上がりを除いて馬券内歴がない馬。厳しい。

・ランスオブクイーン

この馬で注目したいのは3走前。1000m通過57秒7の超ハイペースを4角2番手、早め先頭で5着に粘ったオークスだ。その後もひとマクリで快勝の1勝クラス、古馬牝馬相手にタイム差なしの夕月特別と、オークスがフロックではないことを証明。未勝利を勝ち上がった舞台替わりで再度の好走を警戒したい。
UMAJIN.netより一部編集・転載()

著者プロフィール

田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家
競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。