柔道の日本代表監督発表会見に臨んだ(左から)女子の塚田真希監督、山田利彦強化委員長、男子の鈴木桂治監督

写真拡大

 全日本柔道連盟(全柔連)は9日、都内で理事会を開き、28年ロサンゼルス五輪に向けた日本代表監督を選出した。男子は今夏のパリ五輪を率いた鈴木桂治監督(44)が続投。女子は、2004年アテネ五輪女子78キロ超級金メダルの塚田真希さん(42)が新たに就任する。柔道日本代表で女性が監督に就任するのは史上初。任期は28年9月30日までの4年間となる。

 日本柔道界待望の女性リーダーがついに誕生した。塚田新監督は都内で行われた就任会見に緊張した面持ちで臨み、「あまり意識するなと言われても(女性初を)意識してしまう部分があるが、期待に応えたい。必ず次の世代につながるように責任感を持って全うしたい」と所信表明。「(期待と重圧が)私の肩に重くのしかかっている。人と人として(選手と)付き合っていくことを大事にして、学生柔道(での指導経験)と新しくアップデートした部分がどれだけ代表選手に通用するか。チャレンジ精神を持ってやっていきたい」と決意を語った。

 現役時代は女子重量級のエースとして存在感を放った。04年アテネ五輪では最重量級としては日本初となる金メダルに輝き、08年北京五輪でも銀メダルを獲得。引退後は16年リオデジャネイロ、21年東京五輪と重量級担当として女子代表コーチを経験し、母校の東海大では女子の監督として学生日本一に導くなど着実に実績を積んできた。

 女子代表では13年に当時の監督らによる暴力指導問題が発覚して以来、女性リーダーの登用が長く求められてきたが、実現しなかった。待望の女性指揮官誕生となるが、山田利彦強化委員長は「男女に関係なく一番の適任者」と、あくまで指導力への期待を強調した。

 日本女子は今夏のパリ五輪で48キロ級の角田夏実が金メダルを獲得したものの過去最少のメダル計2個に終わり、前途多難。塚田監督は急務となっている若手育成を最大のテーマに掲げながら、「変化の激しい時代に対応、適応し、技術を提供していくことを核として持っていきたい」と方針を述べた。日本柔道の新時代を託された初の女性指揮官は、荒波の中で舵(かじ)を取っていく。

 ◆塚田真希(つかだ・まき)1982年1月5日、茨城県出身。女子最重量級で活躍し、04年アテネ五輪で金メダル、08年北京五輪で銀メダルを獲得。体重無差別の全日本女子選手権では史上最多となる9連覇を達成。10年に現役引退後は指導者となり、女子日本代表では16年リオデジャネイロ五輪、21年東京五輪で重量級担当コーチを務めた他、16年からは母校・東海大で女子の監督として日本一に導いている。