12日のアーセナル戦に敗れ、順位を9位にまで落としたリバプール。首位マンチェスター・ユナイテッドとの勝点差は14まで広がり、タイトル争いに大きく出遅れている。さらに、予想外の苦戦は、選手間の衝突を誘発。イングランド屈指の名門に緊張が走っている。

 内紛の火種を呼んだのは、GKホセ・マヌエル・レイナの発言だった。このスペイン代表は、アーセナル戦に敗れると、「今後は(チャンピオンズ・リーグの出場権が得られる)4位を目標に戦うべきだ。マンUやチェルシーには、勝点で大きく離されており、優勝は難しい。あとは、チャンピオンズ・リーグのタイトルにターゲットを絞るべき。プレミアよりも自信を持って戦えているしね」とコメント。4位確保は現実的な目標とも言えるが、この発言はチームメイトの反感を買ってしまう。わずか12試合消化時点でタイトルを諦めた守護神に噛みついたのは、DFジョン・アルネ・リーセだ。

 アーセナル戦では、コーナーキックからの失点の場面で、マークを巡りスティーブン・ジェラードと口論を繰り広げた熱血漢のリーセ。直接の名指しは避けたものの、タイトル争いを諦めたレイナを暗に批判するコメントを展開した。

「僕たちは優勝を諦めたりしない。諦める奴は腰抜けだ。もちろん簡単に追いつけるとは思っていない。でも、昨シーズンだって一時はチェルシーに大きく離されたけど、最終的には勝点差9まで追い上げた。とにかく、アウェイでパフォーマンスが落ちる理由が分からない。アーセナル戦後のドレッシングルームでベニテス監督は冷静だった。でも、何か手を打たなければならないことが分かっているはず。それは選手も同じことだ」

 ベニテス政権発足の初年度にチャンピオンズ・リーグ、そして2年目の昨シーズンにはFAカップと、2年連続でビッグタイトルを獲得したリバプール。3年目の今シーズンは、プレミアシップのタイトル獲得に期待が集まっていただけに、序盤戦での躓きはチームに不協和音を生み出しつつある。チームの空中分解を回避するためにも、名門復活を託された知将ベニテスの手腕が問われる。