【Microsoft Flight Simulator 2024】
11月19日 発売予定
価格:未定

 14年ぶりの新作として2020年に発売されたフライトシミュレーションゲーム「Microsoft Flight Simulator」。“地球全体”をゲームの舞台にすることで、世界中どこまでも飛ぶことができ、ゲーマーに“空の可能性”を教えてくれたタイトルだ。また発売から毎月アップデートが行なわれており、今でも世界各地を飛び回っているパイロットが多いことだろう。

 あれから4年が経ち、遂に続編となる「Microsoft Flight Simulator 2024」が11月19日に発売される。前作で地球全体を遊び場にしてしまった開発陣が次に目標にしたのは、“ただ飛ぶだけじゃない”フライトシミュレーションゲーム。遊覧飛行やフリーフライトだけでなく、パイロットの仕事も再現する新たな「MSFS」へ進化を遂げている。

 筆者は先日、Xboxチームの招待のもと、MSFSパイロットなら一度は遊覧飛行をしたであろうアメリカの「グランドキャニオン」で開催されたプレビューイベントに参加してきた。そこで本稿では「Microsoft Flight Simulator 2024」の先行レポートをお届け。前作からどのように進化したのか、どのようなモードをプレイできるのか、遂に飛び立つ「MSFS2024」を紹介していこう。

【Microsoft Flight Simulator 2024 - Xbox Games Showcase 2024】

グラフィックスは進化、ゲームはコンパクトに! 「MSFS2020」からの進化点

 「Microsoft Flight Simulator」シリーズは、その名の通り様々な航空機を操縦し、空の旅を楽しむフライトシミュレーター。1982年に「Microsoft Flight Simulator 1.0」がリリースされてから既に40年以上が経っている長寿タイトルだ。

 だが、2006年発売の「Microsoft Flight Simulator X」をもって開発元のACE Studioが解散したため、長らく新作が発売されてこなかった。そんな中、2020年に発売された「Microsoft Flight Simulator(以下、MSFS2020)」はAsobo Studioが新たに開発したことで、14年ぶりのシリーズ復活となったのだ。

 今回の「Microsoft Flight Simulator 2024(MSFS2024)」は、Asobo Studioが引き続き開発を担当しており、前作の“地球全体を遊び場”というコンセプトを引き継ぎつつ、グラフィックスやロード時間などのプレイ体験を改善。また、後ほど紹介する「キャリア」や「チャレンジリーグ」などの新たなモードを追加することで「MSFS」の遊びの幅を広げている。

 9月19日より予約受付を開始し、収録されている航空機や空港の違いで、スタンダードエディション、デラックスエディション、プレミアムデラックスエディション、アビエーターエディションの4つがラインナップされている。スタンダードエディションは、Microsoftのサブスクリプションサービス「Xbox Game Pass」のUltimateプランに対応しており、加入者であれば発売日当日から追加料金なしでプレイできる。

2006年に発売された「Microsoft Flight Simulator X」

14年ぶりの新作となった「Microsoft Flight Simulator」

今回発売される「MSFS」は全4エディション。スタンダードエディションは「Xbox Game Pass」のUltimateプラン対応で、発売日からプレイできる

 まずはプレイ体験の改善。前作「MSFS2020」はサイズが180GBというとても大きなゲームで、ダウンロードが終わるまでに何時間も待つ必要があり、PCやXbox Series Xのストレージを圧迫していた。それでいてサーバーからデータを随時更新することで、あの広大なマップを実現していたのだ。

 だが「MSFS2024」の容量は30GB以下とコンパクト。これはマップやエアクラフトといった主要データもサーバー側にあり、プレーヤーのフライトに必要なデータだけをサーバーから持ってくることで実現している。そのため、フライトの前には必ずロードが入ってしまう一方、ダウンロードするハードルが低くなり、プレイしやすいゲームになったことは確かだ。これらはPCおよびXbox Series X|S共通の仕様となっている。

「MSFS2024」でより多くのコンテンツを実装するための“唯一の方法”がクラウドと語られた

「MSFS2024」ではフォトグラメトリーのデータのみならず、航空機や空港もサーバーから随時読みだされる

そのため、ワールドアップデートをインストールする毎回必要はなくなった

手作業で再現された空港もサーバーから自動で読みだされる

「MSFS2020」ではコンテンツを選択してダウンロードする必要があったが、「MSFS2024」ではもうその必要はない

 さらにグラフィックス面も進化。前作「MSFS2020」でも十分に綺麗なグラフィックスだったが、「MSFS2024」ではよりリアルなグラフィックスへと進化している。これは使用しているデータの改善やグラフィックスの最適化によって実現しており、PCの推奨スペックは「MSFS2020」から変更されていないため、PCの買い替えがチラついたパイロットの方々も安心してほしい。

 実際にデモで確認してみたところ、滑走路のアスファルトや窓から見える木がより鮮明な描写になっていた。「MSFS2024」ではより現実に近い風景が窓の外に広がっているので、遊覧飛行が捗るだろう。

【「MSFS2020」と「MSFS2024」のグラフィックス比較】

「MSFS2020」での森林の様子

「MSFS2024」での森林の様子。より一本ずつ鮮明に描写されている

「MSFS2020」での富士山の様子

「MSFS2024」での富士山の様子。河原も丁寧に再現

「MSFS2020」でのグランドキャニオン

「MSFS2024」でのグランドキャニオン。より輪郭がはっきりしている

【参考:実際のグランドキャニオン】

撮影当日はカリフォルニアの山火事の影響で少し霞んでいた

【Microsoft Flight Simulatorのスペック表】 最低スペック 推奨スペック 理想スペック CPU Core i5-4460 or Ryzen 3 1200 Core i5-8400 or Ryzen 5 1500X Core i7-9800X or Ryzen 7 2700X GPU GeForce GTX 770 or Radeon RX 570 GeForce GTX 970 or Radeon RX 590 GeForce RTX 2080 or Radeon VII VRAM 2GB 4GB 8GB RAM 8GB 16GB 32GB インターネット回線 5Mbps 20Mbps 50Mbps

パイロットの仕事を体験できる! “ただ飛ぶだけじゃない”「MSFS」に

 これまでの「MSFS」シリーズは、自分でフライトプランを組み立てて運航する「フリーフライト」や観光地を遊覧する「ディスカバリーフライト」などがメインで、航空機で自由に空を飛ぶことに重きを置いていた。

 そこで「MSFS2024」で新たに登場するのが「キャリア」モード。プレーヤーが一人のパイロットとして、航空機を操縦しながら様々な任務をこなす新モードだ。「MSFS2024」初回起動時には、キャリアモードで使用するパイロットのキャラクタークリエイション画面が出現するなど、かなり力の入ったモードに仕上がっている。。

 キャリアモードでは、パイロットとしてライセンスを取得するところから始まり、出発前から離陸までの作業、管制塔とのやり取り、対気速度や高度の指定など、実際に飛びながら航空機操縦のいろはを学んでいく。フライトシム初心者にはチュートリアルにもなるだろう。

「MSFS2024」のメニュー画面。「キャリア」や「チャレンジリーグ」といった新モードが目を引く

まずはキャラクリがスタート

服装も選べるので、自由な格好で空の旅を楽しめる

これまでの「MSFS」にはなかった会話シーン

まずは自身のライセンスを取得するところから始まる

エンジンカバーを取ったりするなど、とても本格的だ

指定されたコースを指定された条件で通過していく

最後にはスコア化。少しずつパイロットとしての技量を身に着けていく

 無事ライセンスを獲得すると、いよいよパイロットとして働いて様々な任務に挑戦できる。今回の試遊時間ではライセンスを取るだけで終わってしまったのだが、任務としてはレスキューヘリで遭難者を救出したり、旅客を乗せて遊覧飛行のパイロットを担当したり、貨物機のパイロットとしてオペレーションしたりなど、様々なパイロットの仕事を体験できるのだ。

 キャリアモードは、これまで「MSFS」をプレイしていたパイロットからすると、別のフライトシムをプレイしているかのような新鮮さがある。そこにMicrosoftが持つ広大なマップと技術が組み合わさることで「MSFS2024」は、ただ飛ぶだけではなく、パイロットとしての仕事をリアルに体験できるシミュレーターに仕上がっている。

キャリアには様々な任務が用意されている

パイロットとしての仕事が体験できてとても面白い

 「MSFS2024」の新モードはキャリアだけではない。「チャレンジリーグ」では毎週配信されるチャレンジに挑み、全世界のパイロットたちとスコアを競うことができる。今回体験したチャレンジは、戦闘機「FA-18E スーパーホーネット」でグランドキャニオンに設置されたコースのタイムを競うというもの。なかなかテクニカルなコースで、日ごろセスナ機で遊覧飛行を楽しんでいる筆者には、なかなかエキサイティングな空の旅だった。

 そのほかにも「MSFS2020」のディスカバリーフライトは「ワールドディスカバリー」へリニューアル。全世界の観光地で遊覧飛行がすぐにできるという内容はそのまま、新たにフォトモードが搭載され「ゴールデンゲートブリッジとともに撮影する」といったミッション「ワールドフォトグラファー」に挑戦できるようになった。先述のようにグラフィックスが進化しているため、自身の愛機と観光地の風景を美しく撮影することができる。

 もちろん「MSFS」の醍醐味となった「フリーフライト」も引き続き搭載されており、自分でフライトプランを組み立てて、自由に空の旅を楽しむことができる。

【チャレンジリーグ】

毎週更新されるチャレンジに挑む「チャレンジリーグ」

今回体験したのは戦闘機「FA-18E」でグランドキャニオンを駆け抜けるというもの。非常にテクニカルで、スリリングなフライトだった

タイムは世界中のパイロットと競い合うことができる

【ワールドフォトグラファー】

「ワールドディスカバリー」では全世界の観光地の遊覧飛行ができる

すぐに観光地へ飛び立てるのは「MSFS2020」から変わっていない

飛行中は「ワールドフォトグラファー」というフォトモードを活かしたミッションに挑戦可能

愛機と共に美しい風景を撮影しよう!

 前作「MSFS2020」では地球全体を再現したことで、フライトシムとして行けないところがなくなった。そのため「MSFS2024」は地球全体を舞台に、何をして遊ぶかという方向性にシフトしている。キャリアでパイロットの職を体験するもよし、チャレンジリーグで世界中のパイロットと競う合うのもよし、「MSFS2024」は自分の好きなように空の旅を楽しめる最高のフライトシムだ。

「MSFS2020」から正統進化! 「MSFS2024」は万人が楽しめるフライトシムに

 ここまで「Microsoft Flight Simulator 2024」の先行プレイレポートをお届けしてきた。前作「MSFS2020」の“地球全体が遊び場”というコンセプトはそのまま、プレイフィールやグラフィックス、コンテンツを強化することで「MSFS2024」は正統進化を遂げている。

 筆者はまだフライトシム歴が浅く、フライトシムをプレイする前は操作が難しそうという理由で敬遠していた。だが前作「MSFS2020」をプレイすると、空を旅することの心地よさに目覚め、気づけば世界中を旅していた。「MSFS2024」は、そんなフライトシム初心者にも優しい設計になっていて、特に「キャリア」をプレイすれば、すぐに一人前のパイロットになれることだろう。

 また容量が削減されていること、サブスクリプションサービス「Xbox Game Pass」に対応することで、プレイへのハードルも非常に低くなっている。コアなフライトシムファンのみならず、これまでフライトシムをやったことがないゲーマーもぜひ「MSFS2024」をプレイしてみてほしい。

(C) Microsoft 2024