「日本人が偉いんじゃない」真田広之、米エミー賞18冠の陰で“日本すごい論”が物議
日本時間16日、俳優の真田広之が米テレビ界最高の栄誉とされる第76回エミー賞で主演男優賞に輝いた。真田主演の『SHOGUN 将軍』はエミー賞18部門受賞の最多受賞記録を樹立。その快挙に日本中が沸き立った。Xではこんな称賛の声があふれている。
《SHOGUN、スゴい!》
《真田広之の快挙!》
《同じ日本人として誇らしい》
歓声が鳴り止む気配はないが、一方で新たな“論争”が早くも巻き起こっている。
《「日本凄い!」語りはやめて下さいね…》
《日本人が凄くて偉いんじゃなくて真田広之が偉いんだぞ》
日本人が世界で活躍すると、その個人を生み出した“日本すごい論”になりがちな風潮を牽制する投稿が続出しているのだ。さらに、それへの反論ポストも……。
《そんなことはみんなわかってますよ。日本人が評価されると面白くないのですね》
《言いたいことは分かるが、真田広之をそのような役者に育ててきたのは日本の演劇界なので(役者としての技術や心構え、そして彼のキャリアにおいて、特に千葉真一や蜷川幸雄の果たした役割は大きい)、彼の成功の全てを彼個人に還元するものまた違う気がする》
『SHOGUN』はアメリカ資本で作られたことから、日本の制作力の低下を指摘するポストも見られた。
《真田広之さんに関しては本当におめでとうございますという気持ちでいっぱいだし、誤ったジャパニーズチャンバラ劇ではなく日本人が拘りにこだわった時代劇が向こうの多くの人に絶賛されたのは誇らしいことだ。けれどそれを作ったのがアメリカで日本のテレビ局じゃないんだよ》
《日本の時代ものの作品を、日本で金かけて作れなくなった事は恥じなければならない。文化が衰退するのは政治の責任だよ》
《真田広之の仕事は事実素晴らしいんだろうけど、ディズニーは日本市場を拡大したいんだろうなという捻くれた見方もしてしまう》
ドラマ『SHOGUN 将軍』は日本ではディズニープラスで放送されたので、契約者以外は見られない。今後は地上波放送なども検討されるかもしれないが……。
真田は2003年にハリウッド映画でトム・クルーズ主演の『ラスト・サムライ』に出演以後、20年近くアメリカで活動。その間、日本の映画やドラマにはほぼ出演していない。
授賞式で真田は、「これまで時代劇を継承し、支えてきてたすべての監督、諸先生方に御礼申し上げます」と感謝の言葉を述べた上で、「日本発でも世界に通用するものを作っていくというひとつの布石になれば」と今後に期待を込めた。『SHOGUN』に次ぐ世界レベルの映像が日本からさらに生まれることを願う。