ウクライナ軍人[ウクライナ国防総省のSNS キャプチャー]

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ロシアがウクライナ東部の拠点地域を次々と占領し、ウクライナ軍の士気が低下しているという報道があった。ロシア本土に進撃して兵力を分散させようとしていたウクライナの戦略が失敗しているという分析も出ている。

CNNは8日(現地時間)、ウクライナの指揮官および将校6人に対するインタビューを通して「脱営と不服従が戦線で蔓延している」と報じた。年初にウクライナは脱営兵に対する軍法回付を始めたが、その数は1万9000人に達した。戦線の軍将校が脱営兵を上部に報告せず不処罰を条件に部隊復帰を説得中であることを勘案すると、実際の脱営兵はさらに多いと推算される。ウクライナ当局も脱営初犯の場合は処罰しないよう規定を変える苦肉の策まで使っている。

ウクライナ軍の士気が落ちた最も大きな理由はウクライナ軍の兵力・弾薬不足にある。ウクライナ側は100万人ほどを動員したと主張するが、実際は30万人ほどを戦線に配置したと西側メディアは推定している。ロシア軍の戦線配置兵力は50万人と推算される。

ウクライナ東部ドネツクで戦闘中のウクライナの将校は「塹壕で一日中、撃たなければロシア軍が攻めてくる音が聞こえる。一日がとても長い」と話した。CNNは「一部のウクライナ将校はウクライナ軍人1人に対してロシア軍10人がいると推定している」と伝えた。

ドイツ時事週刊誌シュピーゲルはロシア軍が実際に「ウクライナ軍に休む間を与えない持続的な最大限の圧力」を駆使する戦術を使っていると分析した。ロシア軍は目につく軍用車両を利用するのではなく、5、6人ずつ分隊を構成し「突撃」を叫んで突進する波状攻撃をしているという。さらに戦線の後方に対するロシア軍のドローン攻撃で兵力の循環配置が難しくなり、ウクライナ軍の疲労度が高まっているのが実情だ。

ロシア軍はウクライナ東部の兵たん拠点ポクロフスクから12キロの距離まで進出するなど、ウクライナ軍の戦況も悪化している。列車と道路が交わるポクロフスクを奪われる場合、ウクライナは補給ラインに打撃を受ける。近隣には鉄鋼の生産に必要なコークスを採掘する鉱山もある。

このためロシア本土を狙ったウクライナのクルスク進撃作戦が事実上失敗したのではという見方が出ている。ウクライナは東部と南部の戦線から精鋭兵力を移してロシア南西部(ウクライナ北東部)クルスク州に進撃した。ロシア軍の兵力分散を狙った戦略と推定されるが、ロシア軍はむしろウクライナ東部戦線に精鋭兵力を投入する形で反撃し、ウクライナ軍の後退が続いている。

さらに戦場の時間はウクライナの味方ではない。カーネギー国際平和財団のコフマン研究員らはフォーリンアフェアに「ウクライナ軍はロシアのクルスク州の茂みを生かして兵力を隠蔽中だが、冬に入って葉が落ちればロシア軍がクルスク州で反撃する可能性がある」と述べた。