前人未到の50-50は「最後に振り返ればいい」 米メディアも沸く中で大谷翔平が見せた“ドジャース移籍の意味”

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46号を放ち、ホームラン王争いでも独走態勢を維持している大谷。(C)Getty Images

 米球界をマークする現地メディアでも「50-50」の文字を見ない日はなくなった。多くの媒体で特集が組まれ、MVPの行方を絡め、前人未到の偉業に迫る大谷翔平(ドジャース)の話題性は過熱している。

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 もっとも、当人は至って冷静だ。どれだけ周囲が騒がしくなろうとドジャース移籍当初からの目標であった「優勝」ひいては「勝利」にブレはない。

 現地時間9月8日に行われたガーディアンズ戦でも、勝利を渇望する大谷のプロ意識が垣間見えた。

 この試合で大谷は目の覚めるような一発を放った。「1番・指名打者」で先発出場した大谷は、5回の第3打席に自身のシーズン最多本塁打記録に並ぶ46号を記録。これで「シーズン46本塁打・46盗塁」に到達。打点もキャリアハイの101とし、リーグトップに並んだ。

 試合後、前人未到の「シーズン50本塁打・50盗塁」もいよいよ目前に迫り、現地メディアからも記録に関する飛んだ。地元スポーツ専門局『Sports Net LA』などの囲み取材に応じた大谷は“金字塔”への心境を問われ、「最後に振り返ればいいと思うので」と回答。さらに「あまり意識はしないようにしている。それよりは自分のいい感覚の打席を増やしたいなと思っている」とし、個人記録への考えを口にした。

「チームが変わっているので、あまり今年は自分の数字がどうのこうのみたいなのは気にする余裕がない感じはする。今も首位にはいますけど、各ゲームで勝っていって早く地区優勝を決めたいというところでしかない。また切り替えて明日も頑張りたいと思います」

 あくまでチームの勝利を優先とする考え方は、エンゼルス時代からブレていない。

 大谷はMVPを手にした21年シーズンには、「ファンの人も好きですし、球団自体の雰囲気も好きではある。ただ、それ以上に勝ちたいという気持ちが強いですし、プレーヤーとしてはそれの方が正しいんじゃないかなと思います」と記者団に告白。

 さらに昨年12月のドジャースへの入団会見でも「野球選手としてあとどれくらいできるかというのは正直誰も分からないですし、勝つことが僕にとっていま一番大事」と、勝利の重要性を強調していた。

 このガーディアンズ戦での勝利で、ドジャースは地区優勝のマジックを「14」に減らした。大谷にとってはメジャーリーグで初の“チームタイトル”の瞬間が迫っている。

 メディアやファンの誰もが「50-50」を話題にし、達成の行方を追っている。そんな周囲の喧騒はおそらく本人も自覚している。そうした中で、淡々と勝利のためにプレーできる姿勢こそ大谷の凄みでもある。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]