新潟との第2戦で先制ゴールを決めた中島裕希【写真:(C) FCMZ】

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40歳FW中島裕希はルヴァン杯新潟戦で9年ぶりのJ1勢からゴール

 ルヴァンカップは9月8日に各地でプライムラウンド準々決勝の第2戦を行い、FC町田ゼルビアはアルビレックス新潟と対戦した。

 J1リーグで首位を争う町田だが、第1戦を0-5で落としており、この試合では第1戦で退場となったFW藤尾翔太が出場停止。準決勝進出は厳しい状況でキックオフを迎えた。

 そうしたなかで奮起を見せたのが、先発起用された40歳のFW中島裕希だった。立ち上がりから相手の最終ラインに猛烈なプレッシャーを仕掛け、ロングボールを蹴らせて試合の流れを引き寄せた。新潟の松橋力蔵監督も「我々らしさを封じ込められた」と試合後に語ったが、その要因の1つとなったのは間違いなく中島だった。

 第1戦を0-5で落としたあと、黒田剛監督も大きな期待を寄せていたという。「今日は40歳の中島裕希を軸として、彼が本当にトレーニングから献身的にやっていたところ、またこの間の新潟戦の10分、15分の出場でもすごくみんなを奮起させてくれたというところも含め、彼をスタメンにしようと思って、今日はやれるだけやってみようとしました。彼がスイッチを入れることでみんなが上手く連動して、我々の意図するプレスからの攻撃がかなりできた」と手ごたえを口にした。

 黒田監督はチーム最年長の中島にリバウンドメンタリティーの火付け役を託していた。指揮官はチームに対しても「中島の姿を見て、感じることはないのか」と奮起を促したというが、中島は「あの敗戦から、そのアプローチが凄すぎて、めちゃくちゃプレッシャーがかかっていました。『そんなに言われてもな』というところもあったんですが」と苦笑しつつ、「『でも、やらなきゃな』と思わされましたし、今日も前半は上手くハマっていたと思います」と、チーム、個人にとって刺激になったという。

 町田はピンチもありながらも、GK福井光輝の好セーブなどで無失点を保ち、0-0のまま前半41分を迎えた。そして、FWナ・サンホのパスを受けた中島が、エリア内で右足を振り抜き、先制ゴールを記録した。今年7月の横浜F・マリノス戦で9年ぶりのJ1出場を果たしたベテランにとって、9年ぶりのJ1勢からのゴールとなったが「結構、練習でやっていて、その感覚があったので振ってみようかなと思って振りました」と振り返り、「どこを相手でも、どのカテゴリーでも、得点は気持ちいい」と自身の得点を喜んだ。

 結果的に町田はこのゴールと、MF下田北斗の得点にとどまり、2戦合計スコア2-5で準決勝進出を果たせなかった。勝利にこだわってきたクラブにとって、タイトルを獲得できる可能性がリーグ戦だけになったが、「逆にリーグに集中できる。優勝できるチャンスがあると思うので、全集中して1試合1試合勝っていきたいです。本当に、この勝利が町田らしさを取り戻せたと思いますし、この勝利がチームを1つにするきっかけにもなったと思うので、またいい雰囲気で良い準備をしていきたい。今日の『全員で戦う』という感じ、みんながハードワークして、セカンドボールをみんなで拾って、みんなで守ってという感覚を忘れないように次につなげたい。今日のような全員で戦っていくサッカーができれば、勝ち点を取っていける」と、自信を見せた。

 負傷者が出ていることに加え、日本代表にGK谷晃生、DF中山雄太、DF望月ヘンリー海輝、韓国代表にFWオ・セフン、オーストラリア代表にFWミッチェル・デュークと5選手が招集され、この試合をベンチ入りメンバー8人で戦った町田。ルヴァンカップの準決勝進出はならなかったものの、ベテランが呼び込んだ黒田体制になってから初めての新潟戦勝利を起爆剤に、J1初昇格初優勝の偉業達成に向けて一丸となる。(河合 拓 / Taku Kawai)