やす子(C)日刊ゲンダイ

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 かねて疑問視されていた日本テレビ系チャリティー番組「24時間テレビ」の出演者への“ギャラ問題”が再燃している。

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 今年の「24時間テレビ47」(8月31日〜9月1日放送)では、お笑い芸人やす子(26)が、マラソンランナーとして出演。「マラソン児童養護施設募金」として、放送終了時点で4億3801万4800円の募金が集まった。

 しかし放送終了後、X上で、「ギャラは1000万円」との噂が流れ、2日、やす子はたまらず、「チャリティーマラソンのギャラ1000万円ってデマが飛び交ってるけど、一銭もいただいてないですよ! 憶測やデマをすぐ信じちゃうのやめたほうがいいですよ」、さらに、「自分の申し出なので、番組ひどい!と叩かないで」と投稿し、ギャラを辞退していることを明らかにした。

■番組開始当初からの疑問

 一方、同番組に2夜連続で登場し、やす子のゴールのシーンでは、「紅」を生披露して番組を盛り上げたミュージシャンのYOSHIKI(58)は31日、自身のXで、出演の告知と同時に、「過去も今回もギャラはいっさいもらいません。今回も寄付をする予定です」とつづっていた。

 1978年の番組開始当初から、繰り返し論争となっていたこの問題。「出演者は高額なギャラを受け取っていて、日テレも儲けているのに、どこがチャリティーなのか」と、同番組が偽善や欺瞞と言われる論拠となっている。スポーツ紙放送担当記者はこう話す。

「今回のやす子YOSHIKIのカミングアウトを機に議論が再燃しています。『いくらチャリティーとは言えども(中略)プロは絶対にタダでやってはいけない。』『貰った上で自ら寄付する話とは別です』とXにつづったシンガー・ソングライターの柴田淳から、『24時間テレビは、タレントにギャラを払わないで、視聴者が募金をして、CMの収入はテレビ局がノーコストで貰うってこと?』と疑問を呈した実業家のひろゆき(西村博之)まで、SNS上では賛否両論が巻き起こっています」

 日テレはこの問題に対し、2000年11月にBPOで視聴者からの質問に答える形でこう回答している。

24時間テレビに出演して頂いたタレントのギャラについては、基本的にボランティアでお願いしております。しかし、拘束時間の長い方など、場合によっては謝礼という形でいくらかのお支払をしております。但し、それは通常の拘束時間に対して払うものの何割かにあたる程度であり、タレントによっては謝礼を辞退される方もいらっしゃいます。『通常より高額のギャラが支払われている』というご指摘は事実無根です」

 同時に、スポンサー企業も募金に協力しており、日テレ自身も事務局費用などを負担していると主張しているが、この問題は、番組の歴史と同じく長きにわたり、物議を醸しているのだ。

 かつてビートたけしは、「オールナイトニッポン」で、「24時間テレビ」について、「ヨダレ垂らした芸能人どもがめちゃくちゃ高いギャラ稼ぐくせに、これ以上貧乏人から金巻きあげんな。チャリティーって言うくらいならおまえら全員ノーギャラで出ろよ! コノヤロー!」と喝破。1991年には、司会を務めた帰国子女の西田ひかるが、「チャリティーなのに出演料が出るとは思わなかった」と発言。2013年には、2年連続で司会を務めた嵐のギャラが5000万円と週刊誌で報じられたことに対し、日テレが、「今年もボランティアで務めていただいております」と全面否定のコメントを出したこともあった。

■消えぬモヤモヤ

 ある番組関係者はこう話す。

マラソンのギャラは1000万円以上、司会者のギャラは500万円以上という相場は確かに存在します。過去には辞退したり、一部を募金に回したりした人もいますが、ほとんどの人は受け取っています。ただ、今回のやす子のように、辞退したとしても、日テレは、今後もやす子を厚遇し、さまざまな番組に出演させ続けますから、それを考えれば、恩恵は1000万円どころか、億単位になります。それと日テレもスポンサー収入があるとはいえ、数十億の制作費は負担していますから、単純に濡れ手で粟というわけでもありません」

 チャリティーのあり方を巡り、存在意義が問われる「24時間テレビ」。“感動ポルノ”とまで揶揄される番組の内容と相まって、モヤモヤした感情が消えない視聴者は多いだろう。

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 ゴール直前、やす子をアクシデントが襲った。●関連記事【もっと読む】やす子“ナマ痴漢”被害の波紋…「24時間テレビチャリティーマラソン中に沿道から胸タッチの波紋…では、犯行の瞬間、及び、その後の波紋について伝えている。