このファーストクラスラウンジはお金を払って入れるものではない。どうしても入るのであれば、ファーストクラス利用者やマイレージ資格者の同行者になるしかない。

◆ビジネスクラスラウンジもある

 羽田空港には「国際線サクララウンジ」が用意されており、JMB会員やエコノミークラスでも自由度の高い運賃(Flex Y)以上の航空券所持者は利用できる。「JAL特製オリジナルビーフカレー」や「メゾンカイザー」のパンは人気があり、話題を呼んでいる。

 サクララウンジの基本構成は、ラウンジ部分とダイニングに分かれる。シャワー設備もあるが、ファーストクラスラウンジには遊び心や重厚感が備わっている。

 羽田空港内のJALラウンジは、アクセスの利便性も大きな魅力である。チェックインカウンターからラウンジまでの道のりはスムーズであり、特にファーストクラスやビジネスクラスの乗客は専用のセキュリティチェックを経てラウンジに直行できるシステムが整備されている。このシームレスな移動は、乗客にストレスを感じさせないサービスの一環として評価が高い。

 この2種類のラウンジは成田空港でも同様のサービスを行っており、他空港でも国際線就航空港では自社ないし提携のラウンジが利用できる。

◆空港ラウンジの今後の進化

 JALのラウンジは、今後もさらなる進化を遂げることが期待されている。この先もラウンジのリニューアルや新サービスの導入が検討されており、ますます充実した施設とサービスが提供される予定である。

 海外ではユナイテッド航空のロサンゼルス空港や、エアカナダのサンフランシスコ空港での事例で空港が見渡せるテラス席のゆったりしたソファーで過ごすことができるようになっている。これにより、特別感はさらに高まることから今後は、このような傾向も増えていくことだろう。

 環境に配慮した取り組みで新たな顧客体験の提供により、ラウンジの快適さと機能性がさらに向上することが期待される。ストローやなどの使い捨てアイテムの廃止、シャワーでは節水型シャワーヘッドの設置、省エネ型の動作センサーの設置などがある。地元産の持続可能な農産物を使用し、食品廃棄物を最小限に抑える工夫をしている。将来はデジタル技術の提供が期待されるだろう。

◆サービスの二極化

 日本では2012年以降のLCCの就航で、格安で海外に渡航することが当たり前のようになる一方で、ビジネストラベル客へのサービス向上で、ラウンジサービスがさらに磨きがかかる可能性が大きい。今後の航空旅行は、二極化の側面を見せていくのではないかと思われる。

 ラウンジの存在を身近にしてくれたテレビ番組の功績がある。今後も、同様のプログラムを注目していきたい。

<TEXT/北島幸司>

【北島幸司】
航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。YouTube チャンネル「そらオヤジ組」のほか、ブログ「Avian Wing」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。Facebook avian.wing instagram@kitajimaavianwing