「乗り味は抜群」師も絶賛の1億4000万円馬ダノンカゼルタ 期待の若手と初陣/関西馬メイクデビュー情報
先週、8月17日に中京ダート1800mで行われた新馬戦。単勝1.5倍の圧倒的支持を集めたクァンタムウェーブ(栗東・松永幹夫厩舎)が2着に3馬身1/2差つけて圧勝。2着と3着は7馬身差だから、この馬の強さが際立つレースだった。同日、新潟ダート1800mでは単勝1.3倍のジャナドリア(美浦・武井亮厩舎)が勝利しており、この2頭が今後のダート路線でどんな結果を見せるか楽しみなところ。
といっても、近々のJRAの競走において、この2頭が目指しそうなダート中距離のレースはない。本当に3歳ダート三冠競走を盛り上げていくのであれば、この時期から来年が楽しみになるような、2歳ダート中距離のオープン特別を増やすべき。
出走頭数がうんぬんという話なら、新馬戦を増やせばよい。前記2レースとも除外馬が出ているのだから、ダート中距離の新馬戦を増やしたからといって頭数割れするとは思えない。実際、現場で取材していると「ダートっぽいところはあるけど、番組もないし芝から」という馬も多くいるので、番組が増えても頭数は確保できるはずだ。
【8月24日(土) 中京芝1600m】
◆ダノンカゼルタ(牡、父サートゥルナーリア、母カゼルタ、栗東・寺島良厩舎)
おじにダートで7勝を挙げたエルデュクラージュ(父クロフネ)がいる血統。本馬は2022年セレクトセール当歳にて、1億4000万円(税抜き)で落札されている。ゲート試験合格後、一旦放牧に出されて、7月30日のノーザンファームしがらきから帰厩している。
帰厩してからの調教に跨った寺島良調教師は「乗り味は抜群。精神的にも強い馬」と高い評価。8月1日のCWでは単走追い切りだったが「緩い走りになるかなと思ったら、意外とカチッとしていましたよ」と走らせての良さを実感した様子。その後も順調に追い切りを消化しており、あとは実戦でどんな走りを見せるか。鞍上は西塚洸二騎手が予定されている。
◆ミュージアムマイル(牡、父リオンディーズ、母ミュージアムヒル、栗東・高柳大輔厩舎)
母系にセントライト記念など重賞2勝のキングストレイル(父サンデーサイレンス)がいる血統。本馬は6月7日にゲート試験を合格した後、一旦放牧に出て、7月30日にノーザンファームしがらきから栗東へ戻ってきている。
8月7日のCW追い切りは6F87.7秒と遅い時計だったが「(レースでも騎乗予定の)幸英明騎手が『まだ緩い面はあるけど、乗りやすくて操縦性が高いですね』と評価してくれています」と高柳大輔調教師。1週前追い切りとなる、8月15日のCWでは3頭併せの真ん中に位置して、最先着。追いかけてきた古馬OPテーオーサンドニを抑え込んだところに能力の高さを感じる。
【8月24日(土) 新潟ダート1200m】
◆シャインミラカナ(牡、父アルアイン、母プリンセスカナ、栗東・北出成人厩舎)
半兄カルロスミノル(父ディープスカイ)は同厩舎で管理され、ダート1400mとダート1700mで計2勝を挙げている。担当する佐藤征爾調教助手は「(過去に担当した)ヒロシゲゴールドみたいに普段はボーッとしているけど、キャンターになるとしっかり走る」とダート交流重賞を勝った過去の担当馬に姿を重ねて、本馬を評してくれた。
8月15日のCWでの3頭併せは一番遅れる形となったが、少し瞬発力に欠けるのかなという感じ。ただ、前日のゲート練習ではスタートセンス抜群なところを見せたし、ダッシュ力も短距離向き。併せ馬では遅れてばかりなのでどうしても目立たないが、実戦に行っての走りが楽しみ。鞍上は松岡正海騎手が予定されている。
【8月25日(日) 中京芝2000m】
◆サトノクローザー(牡、父シュヴァルグラン、母シェルズレイ、栗東・友道康夫厩舎)
半姉に2021年大阪杯でGIを制したレイパパレ(父ディープインパクト)がいる。本馬は2022年セレクトセール当歳にて、8200万円(税抜き)で落札されている。
5月10日にノーザンファームしがらきから入厩してきた時は芦毛という毛色のせいもあってか、ぼやっとした大きく緩い印象だったが「追い切るごとに動きが良くなってきましたし、それに伴って、馬体のシルエットも良くなってきましたね」と友道康夫調教師。8月14日のCWではレースで騎乗予定のM.デムーロ騎手が跨り、3頭併せを一番後ろから追走。切れる感じはなかったものの、6F81.8秒、3F37.3秒と速い時計で動くことができている。
(取材・文:井内利彰)