「読売テレビと対決も……」松本人志「BPO申し立て」が効果抜群なテレビ局への“無言の圧力”に
お笑いコンビ『ダウンタウン』松本人志がBPO（放送倫理・番組向上機構）への申し立てをついに決断したと、７月31日に「日刊ゲンダイデジタル」が報じた。
松本は“性加害疑惑”を報じた週刊文春を発行する「文藝春秋」社を相手に係争中。被害を告発したA子さんに対し、松本の代理人を務める田代政弘弁護士が探偵会社を使い、身辺調査していたことが判明するなど、双方のバトルは異様な展開をみせている。
松本は今年１月「事実無根なので闘いまーす」と宣言し、芸能活動を休止。しばらく沈黙を続けたが、７月12日にＸ（旧ツイッター）でつぶやきを再開させた。
その松本が怒り心頭というのが、読売テレビ制作の『情報ライブ ミヤネ屋』（日本テレビ系）だ。
文春が前出のA子さんに対する尾行や、A子さんから相談を受けていたX氏（中村信雄弁護士）の話を掲載すると、同番組は時間を割いて特集。その中身が「あまりにも文春側に偏っている」というのだ。
松本側が問題視しているのは２点。番組に出演していたコメンテーターの医師のおおたわ史絵氏の
「ありとあらゆる手を使って、とにかくA子さんに（出廷を）諦めさせようとしているという図式だけは、はっきり私にも分かってる感じ」
と決めつけるようなコメントを残したこと。もう１点は 「大手出版社に在籍する女性週刊誌の元編集長」とX氏のやり取りについて、宮根誠司氏の代理で出演していた西山耕平アナウンサーが
「そうか、録音があるんですよね、今だったらね」
と発言し、澤口実歩アナウンサーが
「あくまで記事によりますと」
と述べたこと。録音については文春に一切、記述されていないのに視聴者に誤解を与えかねないと訂正を求め、場合によってはBPOに申し立てを行うと宣言した。
これに「ミヤネ屋」を制作する読売テレビの松田陽三社長は定例会見で
「抗議文書の中身を拝見すると、事実関係で誤解があると思う。訂正する必要はないと判断した」
とコメント。同局は長年『ダウンタウンDX』を制作しているが、強気な姿勢を崩していない。
「田代弁護士が主張する内容と、実際の放送内容を比べてみると、田代氏側の言い分は少々強引な印象を受けます。録音の有無に関しても、前後の話の流れを踏まえると、録音があると断定しているわけではなく『そうか、録音があるんですよね？ 今だったらね？』とクエスチョンマーク付きで述べている印象を受けます。
『あくまで記事によりますと……』というエクスキューズも出しています。このあたりをBPOがどう判断するか……」（スポーツ紙記者）
同番組は旧統一教会問題を追及し、教団から猛抗議を受けたこともある。テレビ局関係者によると
「午後のワイドショー番組で『ミヤネ屋』が狙われやすいのは昔から。その分、スタッフは訴訟リスクも考え、事前に準備できる内容については細心の注意を払いながら制作しています。一時の炎上は慣れっこで、今回の件でもスタッフに動じる様子はありません」
という。
そもそも『ミヤネ屋』を名指しすることで、他の局に対してクギを刺す狙いがあった可能性もある。
「田代弁護士が“あの内容”でBPOへの抗議をチラつかせるのですから、よほどピリピリしているのでしょう。私には『おたくも変なことを報じたら許さないぞ』というメッセージに見えましたね。しかも残念なことに、それで萎縮してしまうのが今のテレビ業界なんですよ。
うちも松本さんの件を報じる時は、“外郭”をなぞるような無難な内容。上層部にすれば『訴訟になったらたまらない』ということのよう。まあテレビ対策として、効果抜群だったんじゃないですかね」（ワイドショー関係者）
BPOに申し立てたとしても、審議されるかどうかは未知数だ。だが、テレビ業界に対する一定の“抑止力”になったのは、間違いなさそうだ――。
