くによし組『ケレン・ヘラー』メインビジュアル

写真拡大 (全2枚)


2024年12月19日(木)~12月22日(日)シアタートラムにて、シアタートラム・ネクストジェネレーション vol.16-演劇-くによし組『ケレン・ヘラー』が上演されることが決定し、ビジュアル・出演者コメント・公演詳細などが公開された。

くによし組は「異常で、日常で、シュール」をテーマに、様々な事象をコメディタッチで描き出す作風が注目され、小劇場演劇ファンの間で話題の演劇団体。

『ケレン・ヘラー』は、くによし組主宰・國吉咲貴の作・演出により、2018 年に初演。SNSが浸透し、刺激的なコンテンツが増えた社会で、面白いと不謹慎の境目は一体どこなのか、面白さを追求するあまり、主人公が禁断の領域に踏み込み、転がり落ちていく様を描く作品。解散の危機に陥ったお笑い芸人が、お喋りロボットを相方に起死回生を図るという奇想天外な設定ながら、巧みなストーリー展開と俳優陣の演技が評価され、初演時には佐藤佐吉賞最優秀作品賞を受賞した。

(上段左から)大場みなみ、中井千聖、名村辰(中段左から)てっぺい右利き、花戸祐介、佐藤有里子(下段左から)國吉咲貴、谷川清夏、柿原寛子、永井一信

主人公でお笑いコンビのネタ担当・アフロ子を演じるのは中井千聖。宮藤官九郎作・演出舞台『もうがまんできない』の出演者オーディションで多数の応募の中から選出されて 2020年に俳優デビューし、近年では大人計画の作品をはじめ数々の舞台や、『不適切にもほどがある!』『新宿野戦病院』などの映像作品でめざましい活躍を続けている。

アフロ子が過激化した姿の悪アフロ子を演じるのは、モダンスイマーズやタカハ劇団などでの好演が記憶に新しい名村辰、アフロ子の相方・ケイト役には、ロロや贅沢貧乏をはじめとする気鋭の劇団や演出家からの信頼が厚い大場みなみを迎える。名村は世田谷パブリックシアター芸術監督・白井晃演出作『メルセデス・アイス MERCEDES ICE』(2023年)以来、大場は『セツアンの善人』(2024年秋)に続く世田谷パブリックシアター主催公演への出演となる。
くによし組の立ち上げメンバーの一人である永井一信を筆頭に、これまでにもくによし組の作品に出演し、國吉の演出意図をくみ上げ表現してきた俳優陣が、作品を支える。クロムモリブデン劇団員として活躍しこれまでも数々のくによし組の作品に携わってきた花戸祐介、コンプソンズや画餅などでも独特の存在感を放つ佐藤有里子、いいへんじや劇団スポーツなど幅広い作風のなかで好演を続けるてっぺい右利き、ザジ・ズーや中野坂上デーモンズなど多様な場所で活躍する柿原寛子のほか、カムカムミニキーナや劇団チョコレートケーキなどで重要な役を演じてきた谷川清夏がくによし組に初参加する。

社会問題ともなっているSNS上での過激な表現をテーマにしながらも、懸命に生きる登場人物を、時に滑稽に、時に痛々しさも交えながらポップに、鮮明に映し出すくによし組の代表作が、初演から6年を経て、個性豊かなキャストと共に新たに立ち上げる。

【あらすじ】
女性お笑いコンビ、“ポジティ boo”のアフロ子とケイトは、ヘレン・ケラーを題材にした不謹慎なコントが原因で活動休止に追い込まれ、価値観の違いから解散に!
ひとりぼっちになったアフロ子の前に、突如、神様さんという謎の人物が現れる。
神様さんの助言により、アフロ子はお喋りロボットのサリバンちゃんを購入して相方にすると、新生“ポジティ boo”として一発逆転を試みる!
神様さんの助言に従うほど注目されていくアフロ子だったが、あるとき、自分の目と耳に不調が起きていることに気づき……


作・演出:國吉咲貴(くによし組) コメント

ネクストジェネレーションに選んでいただき、誠にありがとうございます。演劇が出来ることが、すごくすごく嬉しいです。
『ケレン・ヘラー』は、2018年に上演した作品です。その頃はSNSが盛んになり、誰でも創作者になれてしまう中で、目を覆いたくなるような動画が視聴回数を稼ぐ状況に、私自身も、「面白い」とは何かわからなくなっていて、もがきながらこの作品を作ったのを覚えています。
今回、『ケレン・ヘラー』を、今上演する作品として改訂しました。
当時は、周りが見えなくなっていく主人公のアフロ子目線で描いていて、「面白いはどこまで許されるのか」をテーマに、芸人として売れたい欲のせいで堕ちていく女性の物語でした。
改めて今読み直したときに、彼女をこうさせたのは誰だろうかと思い、「盲目なのは誰か」を新しいテーマとして書き直しました。
発信者だけでなく、受け取る側の判断や反応で、綺麗なものを醜くも、醜いものを綺麗なものに変えることも出来てしまう世の中で、「自分の面白い」を探すアフロ子の姿を、ぜひ観に来てほしいです。
面白いものがつくれるように頑張ります。

出演:中井千聖 コメント 

こんなに大写しで…アフロで…恐縮です。
初めてのシアタートラム、初めてご一緒する皆さん、どうなるのか予想もつきません。予想もつかない、おもしろいことが起きたらいいなと思います。
くによし組の世界は一筋縄ではいかなそうで、今からどきどきしているのですが、何か新しい景色が見られるように、精一杯背伸びしてみようという心づもりです。
よろしくお願い致します!