代役に挙がる守屋都弥【写真:ロイター】

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【専門家の目|岩清水梓】スペイン戦で主力DF清水梨紗が負傷離脱、次戦以降の変化を展望

 なでしこジャパン(日本女子代表)は現地時間7月25日にパリ五輪の初戦でスペイン代表と対戦し1-2で敗れた。

 MF藤野あおばの直接フリーキックで先制点を奪ったものの逆転負け。2008年北京五輪と12年ロンドン五輪に出場し、11年の女子ワールドカップ(W杯)優勝メンバーでもある元代表DF岩清水梓は、主力DF清水梨紗が負傷離脱した右サイドについて「違った攻撃パターンになると思う」と次戦以降の変化についての予想を話した。(取材・構成=轡田哲朗)

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 試合結果と同じくらい痛い場面が起こった。1-1の同点で自陣でのプレーが長くなりながらも拮抗した展開で迎えた後半20分過ぎ、日本は右サイドの絶対的な主力である清水が相手MFマリオナ・カルデンティのドリブルに対応した際、ピッチに足を取られ右膝を痛めてしまう。自らプレー続行不能を伝えるアクシデントが起こり、担架で交代を余儀なくされ、チームからの離脱が決まった。

 長年、日テレ・東京ヴェルディベレーザのチームメイトとして清水と共闘してきた岩清水は「非常に痛手なのは間違いない」として、「ずっと90分出ていて、今のなでしこジャパンのピースになってきたのは間違いない」と話す。一方で、清水の状態が難しければDF守屋都弥の起用が見込まれる第2戦以降に向け「もちろん梨紗の良さはたくさんあるけれども、守屋選手は(右サイドの)職人なので、そこまでネガティブになる必要はない。また違った攻撃パターンになると思う。INAC神戸レオネッサと対戦していても、彼女のサイドが攻撃的なのが相手としても嫌だったので。より攻撃的なサイドバックになるかも」と、守屋が起用された場合の期待感も言葉にした。

 そのうえで清水と守屋での交代が行われた場合について「このチームは梨紗がビルドアップをしてくれているけど、守屋さんはパスの受け手になる選手。そうなると、出し手が誰になるのか。良いほうに行けば、サイドの高い位置で起点を取れるようになると思う。守屋選手は自分から走り出すタイプなので、そこを唯(長谷川)も見られると思う」と、よりスペースへ向けてアタックできる守屋の良さをチームとして生かすことの必要性も指摘した。

 守屋は18人の本戦メンバーではなくバックアップの4選手のうち1人としての選出だが、今大会は合計22人の中から試合ごとに18人の登録メンバーを選出できる。前回の東京五輪から行われている方式だけに岩清水は「私たちの時はそのようなルールではなかったので、試合ごとに変えられることでみんなで戦える」と、前向きに捉えていた。

 日本はこの後、現地時間28日にブラジル、同31日にナイジェリアと対戦する。五輪の女子サッカー競技は12チームが出場し、4チームずつに分かれた3組のそれぞれ2位以上と3位のうち上位2チームが準々決勝へと進出する。

[PROFILE]
岩清水梓(いわしみず・あずさ)/1986生まれ、岩手県出身。2001年に日テレ・ベレーザ(現日テレ・東京ヴェルディベレーザ)でリーグ戦デビュー。なでしこジャパンには06年に初選出され、女子W杯メンバーに3度、五輪メンバーには2度選ばれ、11年W杯の優勝を経験した。20年3月に第一子を出産し、“ママさん戦士”として現役を続ける。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)