先日、マンチェスター・ユナイテッドの監督就任20周年を迎えたアレックス・ファーガソン監督。そんな前人未到の長期政権を誇る老将も、2002年に監督引退を発表したことがあった。しかし、ある人物との会談をきっかけに、マンUで指揮を執り続ける決断を下している。その人物とは、元イングランド代表のボビー・ロブソンだ。

 バルセロナやニューカッスルで監督を務めた73歳のロブソンは、ファーガソンに続投を訴えた4年前を、こう振り返る。

「もう4年も前の話だ。アレックスの将来について、2人で話をしたんだ。私は彼にこう言った。『君はオールド・トラフォードで一時代を築いた。それを誰かに譲ってしまっていいのか? 君が続けるべきだ』とね。アレックスは素晴らしい仕事をしている。それは今後も続くはずだ」

 月曜日には、ファーガソンの20周年を祝う昼食会が開かれ、引退を踏みとどまらせたロブソンをはじめ、かつてマンUで活躍したブライアン・ロブソン、スティーブ・ブルース、デニス・ロー、マーク・ヒューズ、ペーター・シュマイケルといったフットボール界の重鎮が集結。現役のライアン・ギグスやガリー・ネビルも、練習を終えて会場に姿を表わした。

 また、マンU時代にはファーガソンのアシスタントを務めた、イングランド代表のスティーブ・マクラーレン監督も出席。老将から帝王学を学んだ代表監督は、マンUこそチェルシーの独壇場に終止符を打てると語り、師匠にエールを送る。

「監督を20年も続けるには、相当な意欲が必要だが、アレックスにはそれが備わっている。タイトルを獲っても、すぐ次のタイトルに目標を切り替えるんだ。今はとにかくプレミアのタイトルを狙っているはず。実際に首位に立っているわけだしね」

 20年におよぶ長期政権で、幾多の伝説を築き上げたファーガソン。しかし、その目には、チェルシーの3連覇を阻止し、マンUの黄金期を再現することしか見えていない。まもなく65歳を迎える老将が、その歩みを止めるのは、当分先のことになりそうだ。