東京で保育士を目指すなら、返還不要の修学資金制度が使えるって本当ですか?

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令和2年5月の全国の全職種平均の有効求人倍率は1.10倍(対前年同月比で0.38ポイント下落)なのに対し、全国の保育士の有効求人倍率は2.18倍(対前年同月比で0.11ポイント下落)です。他の仕事と比べると、保育士が不足していることが分かります。また前年同月と比べても、保育士の不足はそれほど改善されていません。 また、経験年数の短い保育士が多い傾向にあります。経験年数が8年未満の保育士が約半数を占めています。保育士の年代も30歳未満と30歳代を併せて6割近くを占めています。 こうした中で、保育士を養成し、保育士の不足を補うために、また若い保育士の職場への定着を促進するための一助となる制度として「保育士修学資金貸付制度」があります。

保育士修学資金貸付制度の対象となるのは?

保育士修学資金貸付制度は、東京都社会福祉協議会が実施しています。対象となるためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
まず、東京都内に住民登録をしているか、在学している養成施設(専門学校など)の所在地が都内にあるか、いずれかを満たしていること。なお通信制は対象外です。

●学業優秀なこと
●家計が厳しく、貸付が必要なこと
●他の県の保育士修学資金制度を利用していないこと(他の奨学金等との併用については別途要件あり)
●養成施設を卒業してから1年以内に、東京都内の指定の種別の施設にて5年以上保育士として
働く意思があること
●保証人を立てることができること

対象者となるための要件は以上です。
 

返還免除の要件

保育士養成施設を卒業してから1年以内に保育士登録をし、東京都内の指定の種別の施設にて従事を開始し、5年間継続して保育士として勤めると、保育士修学資金貸付制度の貸付について、全額返還が免除されます。なお「継続して」とは「月と月の間が空いていない、月単位で継続していること」という意味です。
この返還免除の要件を満たさない場合には、保育士修学資金貸付制度で受けた額の全額を返還する義務が生じます。
 

保育士修学資金貸付制度の内容

修学資金として月額5万円以内、総額120万円以内の貸付を受けられます。期間は原則2年間ですが、修学期間が2年を超える場合には、2年を超えて貸付を受けることも可能です。2年を超えて貸付を受ける場合でも、総額120万円以内は変わりません。
任意になりますが、入学準備金として20万円以内、就職準備金20万円以内の貸付を受けることもできます。生活保護受給世帯またはそれに準ずる世帯と認められた方については、生活費加算を修学資金に加算できます。生活費加算は生活費の一部に充てるものです。
 

まとめに代えて

「保育士になりたい!」と強い意志をお持ちの方でしたら、利用を検討すべきでしょう。ただし、保育士がどのような仕事なのか、そもそも自身が保育士として働き続けることができるのかは、やってみないと分からないことでもあります。先輩や経験者の話を聞くことから始めましょう。
 

出典

東京都社会福祉協議会 保育士修学資金貸付制度のご案内
厚生労働省 保育士の現状と主な取組(令和2年8月24日) p23,28,30
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役