Appleがモバイル回線やWi-Fiなしで、iPhoneとAirPodsだけで近くにいる複数人と音声通話が行える技術を開発していることが、同社の出願特許から明らかになっています。

Apple could allow audio chat with no cell or WiFi needed

https://appleinsider.com/articles/24/07/11/apple-is-trying-to-reinvent-group-audio-chat-with-no-cell-or-wifi-needed



Appleはインターネット経由で音声データを送受信するという従来の音声通話とは異なり、デバイス間で直接音声データを通信するApple Watchのトランシーバーのような機能をiPhoneでも開発していることが、同社の出願特許から明らかになりました。ただし、Apple Watchのトランシーバーとは異なり、即時通信が可能で、個人間のみならず複数人での音声通話もできるようになります。

Appleの出願特許について、テクノロジーメディアのAppleinsiderは「会話版AirDropのようなもの」と説明しています。AirDropでは、iPhoneユーザーはモバイル回線やWi-Fiを利用しなくても、iPhone同士で直接ファイルを共有することが可能です。今回の出願特許でも同様のテクノロジーを用いて音声通話を実現する模様。また、1対多の接続も可能で、グループメンバー全員が同時に会話できるようになるとのこと。

例えば、多くの人が入り混じったお祭り会場でグループが互いに連絡を取り合う際などに役立つ機能となる模様。iPhoneはAppleの落とし物トラッカーであるAirTagが存在する方向および距離を算出するテクノロジーを利用して、通話中の相手の方向および位置も示すことを計画しているそうです。



Appleの超広帯域(UWB)技術により、iPhoneおよびApple Watchではすでに人物や物体の位置を正確に検出することが可能です。UWBについて、Appleinsiderは「UWBはエコーロケーションに少し似ており、電波を発信して返ってくる信号を測定しています」と説明してます。

UWBチップにより、iOSおよびwatchOSはAirTagなどのデバイスが存在する方向を取得し、距離をリアルタイムで測定することが可能となるため、同技術は音声通話機能としてだけでなく、混雑する環境で特定の人と待ち合わせする際にも使えるとAppleinsiderは言及。



さらに、モバイル回線やWi-Fiは災害などの緊急時に過負荷により使用できなくなるケースがありますが、Appleの同技術ならば回線がダウンした場合でも問題なく特定の人物との音声通話が可能となるため、緊急時に役立つ可能性をAppleinsiderは挙げています。

同技術のUIでは円が二重に用意されており、近くにいる人は内側の円の中に、遠くにいる人は外側の円の中に表示されるようになっているそうです。



AirDropと同様に、この新しい技術はユーザーの連絡先に登録されているユーザー以外とも音声通話を開始することが可能。名前をタップするだけで会話にユーザーを追加可能で、通話に参加するために必要な要素は「ホストの近くにいる必要がある」という点のみ。ただし、AirDropと同じように「連絡先を知っている相手とのみ通話を行う」といったオプションが提供されることになると思われます。