1986年11月6日の監督就任以来、20年におよぶ長期政権を築き上げてきたマンチェスター・ユナイテッドのアレックス・ファーガソン監督。就任当時は降格争いに苦しんでいたクラブを立て直し、幾多のタイトルを勝ち取ってきた65歳には、アーセナルのアーセン・ベンゲル監督など、同業者からも称賛の声が鳴り止まない。

 しかし、一方で、ファーガソンの長期政権に否定的なファンやメディアも存在する。3年連続でプレミアリーグのタイトルから遠ざかっているチームに変化を求める彼らは、指揮官の退陣を望んでいるのだ。こうした引退要求が一部で燻っている状況に、ファーガソンは怒りを隠さない。

「私の引退を求めるなど、まったく恥ずべき行為だ。そんな連中にとやかく言われる筋合いはない。私はこの仕事を楽しんでいるし、全精力を注いでもいる。世の中には働くことすら拒否する連中もいる。仕事を続けたいと思う人間を非難するのは大きな間違いではないだろうか? とにかく、私の引退について、誰にも口出しする権利はない」

 引退説を強い口調で否定したファーガソンは、マンUの黄金期再現に、モチベーションの高まりを感じているという。

「これまで多くの栄光を勝ち取ったし、これからもそうありたい。『その情熱はどこから来るのか?』と尋ねられるが、いつもうまく答えられないんだ。理由は数え切れないほどあるのだろうが、結局は気持ちの問題なのだろう。『自分はまだやれる』と思えることが重要だ。この仕事は結果がすべて。何も勝ち取っていなければ、20年も続いていないはずだ。人間的には丸くなったかもしれんが、勝利への欲望は何も変わらないよ」

 選手からの人望も厚く、キャプテンのガリー・ネビルには、「70代になっても続けて欲しい」と求められているファーガソン。前人未到の長期政権の終焉は、まだまだ先の話になりそうだ。