(漫画:©︎三田紀房/コルク)

記憶力や論理的思考力・説明力、抽象的な思考能力など、「頭がいい」といわれる人の特徴になるような能力というのは、先天的に決められている部分があり、後天的に獲得している能力は少ないと考える人が多いのではないでしょうか。

その考えを否定するのが、偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠氏です。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)編集担当の西岡氏は、小学校、中学校では成績が振るわず、高校入学時に東大に合格するなんて誰も思っていなかったような人が、一念発起して勉強し、偏差値を一気に上げて合格するという「リアルドラゴン桜」な実例を集めて全国いろんな学校に教育実践を行う「チームドラゴン桜」を作っています。

そこで集まった知見を基に、後天的に身につけられる「東大に合格できるくらい頭をよくするテクニック」を伝授するこの連載(毎週火曜日配信)。第125回は『「数字のセンス」と「地頭力」がいっきに身につく 東大算数』を上梓した西岡氏が、子どもが数学や算数でつまずいたときの教え方についてお話しします。

考えさせるか、速く答えを教えるか


みなさんは、子どもが算数の問題でつまずいてしまったときに、どちらの教え方のほうが正しいと思いますか?


1 「じっくり考えてみよう!」と教える

2 「答えはこれだよ! 同じような問題を解いてみよう!」と教える

「ゆっくり」解いてもらうか、「速く」答えを教えるか、という違いですね。

もちろん子どもによって適正もあるでしょうし、それぞれの性格に合わせて教え方を変えたほうがいい場合もあるでしょう。

一方で、このことについて東大生に話を聞くと、大体の人が「2」の教え方をされたと答えます。

ゆっくりじっくり問題の解き方を教えてもらったわけではなく、とにかくスピード感重視。速く答えを教えてもらう分、多くの問題に触れるような勉強を促された、と話してくれました。

そして、算数だけではなく数学においても、「ゆっくり・じっくり」ではなく「とにかく速く・多くの問題に慣れる」ような勉強をしていたという東大生が大半です。

なぜ、算数・数学の問題は「じっくり」よりも、スピード感を重視したほうがいいのでしょうか。これについて、漫画『ドラゴン桜』ではこのように説明されています。


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(漫画:©︎三田紀房/コルク)





(漫画:©︎三田紀房/コルク)




(漫画:©︎三田紀房/コルク)

いかがでしょうか? 要するに、算数や数学は、最初から論理的に理解しようとしないほうがうまくいく、ということですね。「論理的に理解しろというのは土台無理なのだ」という数学の柳先生の言葉が、「じっくり」ではいけない理由を端的に表していると思います。

たしかに、よく考えてみると、「1+1=2なのはなぜ?」と言われても難しいですよね。「(−1)×(−1)=1なのはどうして?」と聞かれてもうまく答えられない人が多いと思いますし、「0に何をかけても0になる」って、考えてみるとよくわからないという人も多いと思います。


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数学をきちんと勉強している人であっても、ほとんどの人は論理的に説明できず、そういうものだと思って、計算しているのです。

逆に言えば、1+1=2を何度も何度も計算したうえで、「どうして、1+1=2なのか」ということを突き詰めて考えればいいのです。

公式を丸暗記したうえで成立する理由を理解

数学の公式もそうです。東大生に数学の勉強法を聞くと、大体の人が、まずは公式を丸暗記して、問題が出たら反射的にその公式を使って答えられる状態にしています。問題の解き方に慣れたうえで「じゃあ、この公式ってなんで成立するんだろう? どんな証明をすればいいのかな?」ということを考えて、理解していたという人がほとんどです。結局、何度かその公式を使った経験がないと、「なぜその公式が成立するのか」も考えられないですよね。

スポーツでも同じことが言えますよね。例えばテニスやゴルフで、1回もラケットやクラブを振ったことがない状態で「こういう振り方がいいんだよ。なぜかというと、ここに力が入ったほうが球が飛びやすいからで〜」と懇切丁寧に論理的に説明されても、おそらく最初は「よくわからない」と思います。

何度か見様見真似で実践したうえで、「実は今ボールがすごく飛んだのは、ここに力が入ったからだよ」と論理的に説明してもらうと、やっと「なるほど!」と納得できるようになるわけです。ぜひ、参考にしていただければと思います。

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(西岡 壱誠 : 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当)