ノーネクタイで着る半袖シャツは、襟先をボタンで留めたボタンダウンタイプが使いやすい(撮影:今井康一)

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「半袖シャツ」「ジャケット」「ポロシャツ」それぞれを使った、夏のビジネスシーンでの着こなし術を解説する。スタイリスト、モデルともに栃木雅広さん(撮影:今井康一)

蒸し暑い日が増え、クールビズが始まった。しかし軽装になると、どうも締まりがないような……。そう思ったことがある男性は少なくないだろう。それもそのはず、普段よりカジュアルなアイテムを取り入れるからこそ、ビジネス仕様に仕上げるための工夫が必要なのだ。

では、プロのワザを見てみよう。スタイリストの栃木雅広さんに、定番アイテム「半袖シャツ」「ジャケット」「ポロシャツ」それぞれを使ったスタイリングを組んでもらい、着こなし術を解説してもらった。

半袖シャツは「色合わせ」で差をつける

酷暑での強い味方といえる半袖シャツは、なじみのあるアイテムだろう。デザインの幅が狭いため、そこまで気を付けなくても問題ない。とはいえ、よりよく見せるポイントや人と差を付ける方法もある。


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ノーネクタイで着ることが多い半袖シャツは、襟先をボタンで留めたボタンダウンタイプを選ぶほうが使い勝手がいい。

なぜならネクタイをせず、第1ボタンを開けて着用することが多い半袖シャツの襟元にアクセントを加えてくれるからだ。

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半袖シャツは、襟元のアクセントとなるボタンダウンタイプが使いやすい。半袖シャツ¥2,990(UNIQLO/ユニクロ 0120-170-296)(撮影:今井康一)

パンツは裾に向かって徐々に細くなるテーパードシルエットがおすすめ。脚を細く、長く見せてくれるシルエットなので、ほかのアイテムとも合わせやすく重宝する。


淡いピンク色の半袖シャツに、色の相性がいいオリーブグリーンのパンツを合わせた。半袖シャツ¥2,990、パンツ¥3,990(ともにUNIQLO/ユニクロ 0120-170-296) その他はスタイリスト私物(撮影:今井康一)

靴はローファーを選ぶと軽やかさが出る。また気にしていない人が多いが、ベルトと靴の色を合わせるのも重要。その2点に統一感を出すことで、コーディネートの完成度がぐっと高まる。

より上級者に見せるポイントは半袖シャツの色選びだ。白やブルーなどのスタンダードな色もいいが、柔らかな印象を生む淡いピンクや、フレッシュさが魅力のライトグリーンを取り入れることで洒落感がアップする。

難しいと思うかもしれないが、スタイリング例を見てほしい。淡めの色だと意外と取り入れやすい。パンツはピンクと相性のいいオリーブグリーン、ベルトと靴には落ち着いたダークブラウンを合わせている。全体的にやわらかさのある色合いにすることで、いつもと違った雰囲気を出せる。

なじみのある半袖シャツも、カラーリングを変えると新鮮なスタイルに生まれ変わるので、ぜひ楽しんでほしい。

暑い夏に着るジャケットは機能性を重視

世の中にいくらクールビズが浸透しても、ジャケットが必要なTPOや職種はある。ひと昔前とは比べ物にならないくらい暑くなった夏。それに伴い、ジャケットも進化を遂げている。

涼しさを感じるうえで最も重要なのが素材だ。通気性や軽さ、撥水性やストレッチ性などさまざまな機能を組み合わせた新素材が毎年のように生まれている。次に、仕立てや縫製の工夫。どんなに涼しい素材でも、副資材を加えた仕立てでは涼しくならない。

一方、涼しさだけを追求し、見た目がいまいちになったジャケットは本末転倒といえるだろう。見た目をキープしながら涼しさを備えるには、素材と仕立ての両方が大事になってくる。

その両方を備えたジャケットを紹介する。Lサイズの重量が、わずか230gという超軽量素材を採用したものだ。この軽さだが、副資材を使わずに立体感のある仕立てに作り上げられている。


透け感がある薄手の生地を使っているため涼しい。ジャケット¥21,890(アクティビズ/洋服の青山 池袋東口総本店 03-5952-7201)(撮影:今井康一)

また、出張など荷物が限られている場合に重宝するのがウォッシャブル機能。このジャケットは、家庭用洗濯機だけでなく、ハンガーにかけてシャワーで汚れや汗を流すことも可能だ。


夏のジャケットは、涼しく着られて気軽に洗えるものを。ジャケット¥21,890、シャツ¥2,390、パンツ¥6,490(すべてアクティビズ/洋服の青山 池袋東口総本店 03-5952-7201) その他はスタイリスト私物(撮影:今井康一)

スタイリングは、ネイビージャケットに好相性のグレーパンツを組み合わせ、インナーには爽やかさを加えるブルーシャツという王道コーディネート。

誰から見ても印象がよい清潔感ある見た目ながら快適な着心地で、暑い夏でもクールに仕事ができるのではないだろうか。

ポロシャツを「カジュアルすぎない」印象にする

クールビズファッションの中でも、カジュアル度が高いポロシャツをビジネス仕様にするためには、そのほかのアイテムの選び方や着こなし方にいくつか工夫が必要だ。

例えばまずは、センタークリース入りのパンツ(いわゆるスラックス)を選び、ポロシャツの裾を入れる。


ネイビーで色を揃えたワントーンコーデ。ポロシャツ¥2,990、バックパック¥4,990(ともにUNIQLO/ユニクロ 0120-170-296)、パンツ¥8,690(エー/洋服の青山 池袋東口総本店 03-5952-7201)その他はスタイリスト私物(撮影:今井康一)

靴はカジュアルな印象になるスニーカーやサンダルではなく、ローファーやスリッポンなどレザー製のものがよい。合わせるアイテムの数が少なくなってくる夏は、小物の重要性がいつもよりも高くなってくるので、靴にもこだわりたいところだ。

ポロシャツはベーシックカラーと呼ばれる白、黒、グレー、ネイビーが望ましい。カラフルな色だとカジュアル度が高くなるためだ。

サイズは大きすぎず、ピッタリしすぎないものを選びたい。トレンドのオーバーサイズフィットもビジネスの場だと、だらしなく見えてしまうので控えよう。

合わせたパンツはストレッチが利いたデニム調生地にセンタークリースを入れてスラックス仕様にしたもの。カジュアルな素材とドレッシーな仕立てをバランスよく兼ね備えているので、ポロシャツと相性がいい。

また、選ぶ色にポイントがある。やや上級者向けだが、パンツの色をポロシャツと同じネイビーに揃えることで、全体の統一感と洒落感を一気に高めることができる。

色を揃える時の注意点は、素材感を変えて奥行きある見え方にすること。スタイリング例では、ポロシャツの鹿の子素材とパンツのデニム調素材を合わせている。

カジュアル使いより注意する点は多いが、色合い、サイズ感、タックインを意識し、ポロシャツをビジネスシーンでも活用して快適に過ごしてほしい。

(栃木 雅広 : スタイリスト・エディター)