70代でスタイリストの西ゆり子さんは、人気テレビドラマのスタイリングや、バラエティ番組では井森美幸さんや楠田枝里子さんなどタレントや女優の衣装を担当し、今なお現役で活躍。近年は「着る学校」校長としておしゃれの楽しさも伝えています。定番の服も、流行りの服も、自分の年齢にふさわしく着こなすコツを教えてくださいました。

「流行」も「定番」も自分らしく攻略したい

職業柄、最新のファッションをチェックするのは当たり前のことですが、もともとミーハーな性格なので、自分のために新しい服を買うときもやっぱり「流行」が気になります。若い人たちに人気の服が並んでいる渋谷の109も、時々、探検に出かけます。

【写真】西さんのジャケットコーデ

流行の服には“旬のパワー”があふれているので、身につけるだけでウキウキするし、時代の流れに乗って自分自身をアップデートしていくことはとても楽しいことだから。

もちろん、トレンドの服を若い人たちと同じ着こなしで着るのは“イタい”ので、私なりに工夫して、「ほら、70代はこんなふうに着るのよ」というスタイルを見つけ出すのも、また楽しい。流行の服だけに限らず、定番のデザインの服に関しても、「どうしたら、もっと自分らしく着こなせるだろう」と、常に試行錯誤の繰り返し。

じつは、私はチェック柄が苦手です。ブルーの地にオレンジというような組み合わせのチェックなどは大好きなのに、いざ自分が着てみると、どうにもしっくりこないのです。

「お前は、本当にチェックが似合わないな」と、夫にもいつも言われていました。それなのに、気になる色のチェックのシャツを見つけるたびに性懲りもなく買ってきてしまう。それは、「なんとかして、チェックを着こなしたい」という思いがずっと心にあるからです

70代、ジャケットに挑戦中

近頃は、これまであまり着ることのなかったジャケットにも挑戦しています。「服をかっこよく着るには姿勢が大事」と肝に銘じてはいるものの、70代になったら自然と猫背になってきて、気を抜くと鏡に映った自分が老人の姿になっていることもしばしばです。

「これではいけない!」

背筋をシャキッと伸ばすことを意識するために、クローゼットの奥で眠っていたジャケットを復活させることに決めました。確かにカジュアルな着こなしに比べると、心身共にいささかの緊張感が生まれます。

でも、「毎年、今年がピークだと思って、おしゃれにトライするのよ」という先輩の言葉を励みに、流行の服も定番の服も、今の自分の年齢にふさわしい攻略法を見つけていけたらと思います。

自分らしいスタイルをつくるのに欠かせない「サングラス」

サングラスをかけると、男なのか女なのか、年齢がいくつなのか、日本人かどうかさえ、よくわからなくなります。

なんでもない服装のときでも、帽子をかぶってサングラスをかけると、途端に「あの人、なにもの?」って振り返られる。そんな反応を楽しんでいます。

「アクセサリー」はつけなくてもいい

じつは私は、アクセサリーは毎日つけなくてもいいと考えています。アクセサリーはファッションを華やかにしてくれるけれど、その力に頼ると服の持つ力をうまく引き出せないことも。今日のファッションにはアクセサリーが必要ね、と思ったときにつけるのです。