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 耐えられない急速な物価高に、現在(2024年6月)まで25か月続く実質賃金のマイナスに国民が悲鳴を上げている。個人消費は4期連続のマイナスとなり、老後の不安も心配ななか、先行き不安が高まっている。
 物価上昇に賃金上昇が追い付かず、今の生活防衛と老後の資金確保のために必死に節約する多くの人から出るのはため息ばかりだ。2024年6月から始まった4万円の定額減税は、給与所得2000万円以下の人が対象だが、国民の関心は薄く、ないよりはマシという程度で消費の起爆剤にはならないようだ。先が見えない中、働く人たちの節約生活の実態を探りたい。

◆企業倒産の増加でますます先行き不安が漂う!

 東京商工リサーチ(6月10日)によると5月の倒産件数が1016件で1000件を超えるのは12年ぶりとのことだ。主な原因は、?物価高によるコスト上昇分を価格に転嫁できていないため、?ゼロゼロ融資の返済が4月から本格的になったため、?人手不足による機会損失の発生などである。

 全ての産業で倒産件数が増加しており、今後もさらに増えることが心配されている。こういうニュースを見ると、また消費者の財布のひもは固くなってくる。それをいかにこじ開けるかが各社の知恵の見せどころだが、先行き不透明感が漂う中ではしばらく節約志向は続きそうだ。

 これに合致した商品・サービスをどう提供するかが、企業にとって栄枯盛衰の分岐点になるであろう。

節約志向が急激に高まる現況

 消費者の先行き不安が高まっているなか、若者をはじめ働く人のランチ行動にも変化が生じている。何を節約するかはそれぞれの価値観から違ってくるだろうが、テレビの街頭インタビューを見ると、削るモノの代表格はやはり「飲食費」が圧倒的に多い。

 なかでも一番取り組みやすい外食費のカットに飲食店は頭を痛める。かつてなら近くのコンビニで済ませていたお昼も、時間をかけてでも安く済ませられるスーパーに通う人が増えている。

 コンビニのおにぎりは価格が150〜250円、弁当は400〜700円が中心の商品ラインナップだが、SBI新生銀行が発表した最新版の「2023年会社員のお小遣い調査」によると、男性のランチ代の平均は624円、女性は696円となっている。働き手の希望ランチ予算からは購入が難しいのが現実だ。

◆家での食事には簡便化ニーズが高まる

 食は生きる上で必要不可欠だから、なくなることはないが、節約する上で絶対に標的にされる。1日3食を食べるとして、その食事を内食・中食・外食が奪い合いをしている。

 食材を加工し、料理を完成させるまでのプロセスと提供の手間を金額換算したら、付加価値額(粗利益)は何もしなくていい「外食」が一番高く6割以上だ。持ち帰ってレンチンするだけの「中食」はスーパーなど業態にもよるが粗利は平均3割程度だ。

 ちなみにコンビニの粗利益は3割程度で、その中から本部に3〜4割のロイヤリティを払っている。だから、割高と言われながらも、コンビニの店舗もけっこう経営が厳しいものである。内食は野菜やお肉を購入して自ら作るから付加価値額を負担なしで食べられる分、自分で全てしなくてはならない。

物価高に歯止めがかからず低価格にも限界が

 だから、内食が家計には一番助かるのは当然。女性の社会進出が当然となり、家での食事には簡便化ニーズが高まり、食品メーカーもいかに家庭料理がラクに作れるかを競い合っており、年々進化している。

 店側も物価高騰の煽りを受け、仕入れの負担が大きく、なおかつ人手不足や人件費の上昇で経営が厳しいので価格を上げざるを得ないのが実情だ。低価格のイメージが強かった、ファミレス最大数の店舗数を誇るガストも、地域差はあるものの、日替わりランチの価格は720円だ。