アーセナルのアーセン・ベンゲル監督が、長年に渡りライバル関係を築いてきたマンチェスター・ユナイテッドのアレックス・ファーガソン監督について、その思いの丈を語った。

 先日、アーセナルの監督就任10周年を迎えたベンゲルにとって、イングランドにおける監督生活は、ファーガソン率いるマンUとの激しいタイトル争いが中心だった。ここ数年は、莫大な資金力を手にしたチェルシーの台頭により、両者のライバル関係にスポットが当たる機会も少なくなったが、それでもアーセナルを3度のリーグ優勝に導いたフランス人監督は、メディアを通じて幾多の舌戦を繰り広げてきたスコットランド人の老将こそ、最大のライバルであり続けるという。

「ファーガソンがこの世界から引退することは不可能に近いはず。この仕事が中毒になっているはずだからね。彼には、今後も監督を続けて欲しいものだ。たしかに、マンチェスター・ユナイテッドとの対戦は、いつも厳しい。それでも、彼が引退したら、張り合う相手がいなくなって寂しいよ。我々のようなライバル関係は、ほかに存在しないだろうしね。彼との心理戦は、わたしの精神を研ぎ澄ましてくれるんだ。ただ、ここだけの話だが、彼の唯一の弱点は、彼が『自分には弱点がない』と信じているところだね」

 ファーガソンとのライバル関係を認めたベンゲルだが、両者の間に一切の悪感情がないことを強調する。

「彼とは、空港やUEFA開催のミーティングなどで会うこともあるが、そんな時まで火花を散らしているわけではないよ! むしろ彼との会話を楽しませてもらっている。直接の対戦が近くなければ、サッカーについて熱い議論を交わすこともあるよ。我々の間に、個人的な敵意は存在しない。彼の人間性は詳しく知らないが、監督としては尊敬しているよ」

 今シーズンのアーセナルは、すでに敵地オールド・トラフォードで1−0の勝利(9月17日)をあげている。その余裕からか、宿敵ファーガソンについて、いつになく饒舌に語ったベンゲル。来年1月20日に控えた今シーズンの第2ラウンドでも、両監督によるプレミア名物の“舌戦”を楽しむことが出来そうだ。