Photo: Dua Rashid - Gizmodo US

あのSonosから、ついにヘッドホンが出た!

ついにSonosから初のヘッドホンが新登場。これは期待できる仕上がりです

ミニマルでモダンなデザインが人気のオーディーメーカーSonosが、ブランド初となるヘッドホンSonos Aceを発表。出ないのかなぁ…と長年待っていたファンも少なくないだけに、大きな期待と注目を集めた登場となりました。

日本での販売価格は7万4800円。高級ヘッドホンの価格帯です。「とりあえず試してみるか」で買える額ではありません。じっくりと迷い、吟味して、思い切って買うやつです。それを米Gizmodoがレビューしてきました。

いわくSonosだけにデザインや音には申し分なし。ただ、この価格帯ならもうちょっと頑張ってほしいところがあったと。

以下、レビューです。

Sonosが初のヘッドホンを出すという噂は、Bluetoothオーディオのスタートアップ「T2ソフトウェア」を買収した昨年ごろからありました。以前からSonosはヘッドホン市場への参入に興味を持っており、トライはしていたものの実現には至らず。それもあって、今回のSonos Aceの発表で大騒ぎするのは当然です。

それにしても、やはり相当の自信があるのでしょうね。初のヘッドホンに450ドルという価格をつけたんですから。これ、Apple(アップル)AirPods MaxやSONY(ソニー)WH-1000XM5といった高級ヘッドホンと同価格帯ですからね。

価格以外にも、SonosはAppleヘッドホンからヒントを得ているところがあるようで、デザインに似たエレメントを感じます。エコシステムの在り方も同じくヒントをもらったようですが、Appleと同じ価値を生み出すにはあまりに制限が多すぎるかな。

デザイン:AirPods Maxを感じる

感じますね、Appleの影響を。大きめサイズの楕円のイヤーカップから伸びるメタルというデザインは、AirPods MaxとSonos Aceの共通点。大きく異なるのは、AirPods Macのヘッドバンドがメッシュなことに対し、Sonos Aceはメモリーフォームをヴィーガンレザーで包んだデザインとプラスティックのボディ。

Photo: Dua Rashid - Gizmodo US

Sonosの中の人いわく、プラスティックを採用したのは、メタル素材の重さを避けるためだといいます。AirPods Maxの重さが384gなのに対し、Sonos Aceは312g。ただ、プラスティックなことで、どうしてもAirPods Maxの持つ重厚感には劣ります。ここは見た目の高級さと軽さをどこまでバランス調整できるかという、各ユーザーの好みによるところ。

ちなみに軽さを重視したというSonosですが、それでいうとSONYが圧勝。だってWH-1000XM5は250gですからね。現状、最も着け心地がいい高級ヘッドホンといえば、WH-1000XM5の名前は必ず挙がります。

ですがSonos Aceも健闘しており、重さでは負けたものの、ヘッドバンドイヤーカップのクッションが良くて、着け心地はとてもいいです。レビューを書くため、毎日数時間、1週間以上使ってましたが、不快感を持ったことは1度もなし。帰宅したらすぐヘッドホンを外したくなる私からしたら、Sonos Aceの装着感には大満足です。

一ついえば、ヘッドバンドの調整にもう少し幅があると良かったです。私は頭が小さめなので、バンドを短くしていても若干緩い。水飲むたびにズレちゃうのが気になりました。気になるから、飲むときは取っちゃうこともしばしば。

ヘッドバンドの長さはともかく、その調整は細やかだと思いました。調整するときに髪の毛が巻き込まれちゃうのが、JBLのLive 770NCを使ったときに結構ストレスで、最終的に使うのやめてしまったくらいなのですが、Sonos Aceではそれはありませんでした。

イヤーカップもマグネットなので、簡単に交換ができます。これ、メイクをする人にはとてもありがたくて、大きめのイヤーカップ、特に白だと、コンシーラーやファンデが付くと目立つんです。なので、簡単に外せるのはお掃除しやすくてとても助かります。

物理ボタンって1周回ってありがたい

これも好き嫌いあるのかな。私が古いタイプなのかもしれませんが、物理ボタンが楽なんです。 物理ボタンの反応、使いやすさって、タッチコントロールではどうしても追いつけないところがあると思います。なので、Sonos Aceの物理ボタン搭載には、拍手したい気持ちです。

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電源とBluetooth兼用のボタン。コンテンツキーという音量や曲のスキップができるボタン。そしてノイズコントロールと音声アシスタントを発動するボタン。ボタンほど直感的な使用感ないんですよ!

欲をいえばANC(アクティブ ノイズ キャンセリング)の個別ボタンが欲しかったな。あとはボタンを押した感覚が物足りない。押した感が弱くて、ちゃんと押せてるのかなって思うことがありました。また、押したときにピーとかプーとか、サウンドでのレスポンスがないのもわかりにくいっちゃわかりにくいですよね。

音質には文句なし

Sonosユーザーからしたら当然でしょうが、Sonos Aceは音も良し。明るくて空間を感じるサウンドです。

中域にはたっぷり量感があり、高域は特にエアリー。トレブルのリッチでクリア、シャープな音質は見事です。音楽もポッドキャストもとてもシャープに聴こえて大満足。ただ、重低音好きなら、物足りないと感じる人もいるとは思います。

Photo: Dua Rashid - Gizmodo US

地下鉄でよくポッドキャストを聴くのですが、ノイキャンが十分に作用して、ホストの声がクリアに聴こえました。ただ、周辺が無音になるほどのノイキャン力はなし。高域と比較すると消しやすい低域=地下鉄音でも、ホーム向こうの電車の音が多少は聴こえました。

アクティブノイキャンをONにすると、地下鉄でもコインランドリーでもスーパーでも十分な静けさで、しっかりと聴きたいものを聴くことができました。ですが、450ドルのヘッドホンのノイキャン機能といわれると、正直物足りなさを感じます。400ドルのソニーのWH-1000XM5の方が、ノイキャン性能はいいですよね。

Sonosいわく、Sonos Aceのバッテリー持ちはノイキャンありで30時間、なしなら+25%。場合に応じてANC付けたり切ったりしながら使っていたところ、30時間弱のところでバッテリー切れとなりました。

一番の懸念はエコシステム

Sonos Aceのウリの1つにオーディオスワップ機能があります。これ、コントロールキーの長押しで、Sonos AceとサウンドバーSonos Arcの音を切り替えできるというもの。

わかります? つまりこの機能はSonos Arc使っている人向けの機能ということ。Sonos Arcって800ドル(日本価格:13万4800円)もするんですよ。周辺機器との目玉連携機能がこれって、さすがにちょっと限定的すぎませんか?

後発表で、BeamとRayサウンドバーにも近日対応すると発表されました。ですがSonosの別のスピーカー、例えば広く人気のある360ドルのEra 300で同じ機能が使えたら、恩恵を受けられるSonosファンも多くなるし、意味があると思うんですけどね。

スワップ機能自体は、シームレスでクイックで文句なし。また、ヘッドトラッキングありのDolby Atmosにも対応しています。

その他の懸念事項としては、音声アシスタントもありません。音声アシスタント発動に使えるボタンはあるのに、今使える音声アシスタントはいない状態。あと、防水じゃないのも気になります。これから夏になるので、水に弱いと思うとビビっちゃいますよね。

着脱認識あり。つまりヘッドホンを外すと音楽が停止、着けると再びプレイします。複数接続可能で最大2台まで。接続はWi-FIなし、Bluetoothのみ。イヤホンジャックとType-Cケーブルあり。

折りたたみは不可。代わりにイヤーカップがくるっと回って、なるべく薄い状態でケース収納できるようになっています。これはSonosの独自調査で、折りたたみよりもフラットになる方がラップトップやタブレットなどと一緒に持ち運びしやすい、カバンに収納しやすいという消費者の意見によるものだそう。

Photo: Dua Rashid - Gizmodo US

総評:高い!

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見た目良し。音良し。でも高い。 この価格帯なら当然期待する機能が付いていないですから。アピールされているスワップ機能もSonos Arc持っていないと使えないし。他のサウンドバーにも拡大対応する予定といいますが、それだけを頼りに今購入するのはちょっと不安。

防水もないし、Wi-Fi接続もないし、音声アシスタントもいないし…。ノイキャンもいいけど、最高ではない。ライバルと肩を並べるには物足りません。

物理ボタン含めデザインは好きなのですが、それだけで機能性も重要なヘッドホン、それも高額ヘッドホンを買おうとは思えない。それが正直な感想です。

・いいところ:目を惹くデザイン、着け心地よし、物理コントロールが神、リッチで空間が広がる音質

・残念なところ:スワップ機能が使えるのはSonos Arcのみ、防水なし、音声アシスタントなし、ノイキャンがフツーすぎる

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