IDC Japanは6月2日、国内クラウド市場予測を発表した。2023年の国内クラウド市場は、前年比29.6%増の7兆8,250億円(売上額ベース)となり、2023年〜2028年の年間平均成長率(CAGR)は16.3%で推移、2028年の市場規模は2023年比2.1倍の16兆6,285億円になると予測した。

国内クラウド市場予測、2023年〜2028年(IDC)

2023年の国内クラウド市場は、「製品/サービスの単価上昇」「ハードウェア製品の供給不足からの回復」「クラウドマイグレーションの拡大」により、2022年の大幅な成長率(前年比38.7%)からは低下したものの、順調に推移した。

現在、クラウドマイグレーションは新しい局面を迎えており、これまでのクラウドマイグレーションは主にWebシステムや情報系システム、パッケージアプリケーションを活用した基幹系システムからの移行が多く、クラウドマイグレーションの実行を体系化しやすいシステム領域が主な対象となっていた。2023年にはカスタムアプリケーション開発した基幹系システムへの拡大が顕著にみられるという。

国内では、2018年の経済産業省のDXレポート公開以降、企業のDXに対する関心が高まっているが、一方でビジョンやリーダーシップの欠如、組織の壁、デジタル人材の不足などの多様な課題があり、全体としては停滞感がみられた。しかし、COVID-19の感染拡大やSDGs/ESGへの対応、パーパス、マテリアリティを重要視した経営方針の策定などにより、企業のデジタルビジネスへのシフトは加速している。さらに、生成AI(Generative AI)は、機能性のみならずデータやビジネスプロセスの整備を促すことから、企業のデジタルビジネスに対する取り組みを促進しているという。

IDC Japan Software & Servicesリサーチディレクターの松本聡氏は、「ベンダーは、内製化支援サービスといった技術的な内容だけではなく、デジタルビジネスを促進するユースケースの提示と共に、同ユースケースに合致した業務変革、組織変革の支援の強化を行うべきである」と述べている。

今回の発表はIDCが発行したレポート「国内クラウド市場予測、 2024年〜 2028年」にその詳細が報告されている。同レポートでは、国内クラウド市場の概況や動向を分析し、配備モデル/セグメント別および用途別に2024年〜2028年までの市場予測をまとめている。