Image: Warner Bros.

ジョージ・ミラー監督といえば、可能な限り実写撮影することで知られています。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』も9割が実際に撮影されたもので、象徴的な火を吹くギターすらギミックを仕込んだ本物を用意したほどです。

では、最新作であり前日譚の『マッドマックス:フュリオサ』はどうだったのでしょうか?

実は、全シーンに特殊効果が使われているんですって。

気付けない特殊効果

「『怒りのデス・ロード』にも『フュリオサ』にもデジタル処理されていないショットはほとんどありません」と語るジョージ・ミラー監督。しかし、それらは作品に派手さを加えるためのものではなく、あくまで控えめなのだとか。

たとえば、空に手を加えました。スティーブン・スピルバーグが『ジョーズ』を撮影したとき、海が常に変化していました。あるときは波立っているのに、あるときは穏やかになっていました。しかしデジタル処理を施せば、1シーケンスの中でコロコロ変わることはありません。

『フュリオサ』の中盤に、フュリオサが荒野を舞台に壮絶なバトルを繰り広げる15分ほどのシーンがありますが、撮影日数は78日間だったそうです。

それでも空は一貫しています。いいと思った空を選び、その空をストーリー全体に登場させられました。実際の空がよければその空を使った場合もありますが、次のショットを撮影するときに同じような空ではなかったらデジタル処理で調整しました。

統一感を出すことによってスムーズな映画体験を

同作は全編にわたってこのようなデジタル処理が施されています。ミラー監督は、わかりやすい特殊効果を好まず、あくまで統一感を出すために使っているのです。

今の時代に『ジョーズ』を撮影するなら、海は統一されるでしょうね。几帳面で知られるデヴィッド・リーンが『アラビアのロレンス』(1963年)を撮ったとき、強迫観念に駆られていたのかのように照明やカメラに気を使っていましたが、それでも異なる時間帯に撮影されたのが見て取れます。しかし、今はある程度避けることができる。はるかにスムーズになりました。

ジョージ・ミラー監督の作品は「どうやったらこんな絵が撮れるんだろう」「なんの技術が使われているんだろう」と制作現場で使われているテクノロジーに興味を持たせてくれるものが多いのです。本物の動物の口にCG加工してしゃべらせた『ベイブ』や、ペンギンのモデルにモーションキャプチャーでタップダンスさせた『ハッピーフィート』とか。

『マッドマックス』シリーズだって、『怒りのデスロード』のビジュアルならさすがにCG満載だろうと思ったら斜め上の使い方でした。『フュリオサ』も同様。この意外性や知的好奇心を刺激してくれるところに惹かれちゃうんでしょうね。劇場で観るのが楽しみです。

『マッドマックス:フュリオサ』は本日5月31日から全国公開です。

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『マッドマックス:フュリオサ』監督インタビュー:早くみんなに見てほしい、反応が楽しみ!