「東大男子」からも「就職先の同僚」からも「逆風」を浴びつつける「東大女子」の「本音」

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東大女子が入れない東大サークル

「なぜ東京大学には女性学生が少ないのか」というポスターが、東京大学の内外で話題になっている。

【前編】「「東大女子」が絶句…入学直後に「男女の格差」を痛感させられた「衝撃のスピーチ」の中身」の記事で詳しく見たように、ポスターは、東大の女性が様々な「ネガティブな言葉」を投げかけられることで意欲を奪われたり、可能性を狭められたりしていることを示唆しているようだ。

では、実際に東大女子はどんな苦労を経験しているのか。数年前に東大を卒業したBさんは、前編の記事で紹介したように、新入生歓迎会でのOGによる「結婚を意識して大学生活を送れ」というスピーチに衝撃を受けた。

それだけでなく、Bさんは入学時に入会したサークルでも、嫌な思いをしたという。

「学生時代からやっていたスポーツを続けたくてサークルを探したのですが、そのスポーツのサークル自体は10団体以上あるのに、東大女子が入会できるのは2団体だけ。他はインカレサークルで、基本的に東大男子と他大の女子という構成なんです。東大女子は入れませんでした」

サークルには入れても……

「入会したサークルでは、男女混合の試合の際に男子学生がペアの女子学生を選び、女子学生はペアを組んだ男子学生にお弁当を作るという伝統があったんです。スポーツの実力というより、可愛さを基準にして女子は選ばれていきますし、そのうえ、彩り豊かなお弁当を期待される。『女性はこうあるべき』という価値観が根強く残っていることにショックを受けました。

結局、そのような活動が嫌でサークルを退会しました。私の周りにも数人、拒否感を覚えてそのサークルから離れた人がいました。

実は、『言葉の逆風』のポスターがバズったことは同期の東大女子の間でも話題になっています。私の友人も、入学時に興味を持ったサークルがあったのに、東大女子禁制で入れなかったと打ち明けてくれました。『言葉の逆風』ポスターを見て、そのときの悔しさを思い出したそうです」

就職先でも悩みは尽きない

そして、卒業した後も逆風が続く。最近東大大学院を卒業し、誰もが知る有名企業に就職したCさんはこう打ち明ける。

「正直言うと、在学中は意外と居心地がよかったんです。私の周りではジェンダー論という授業が人気で、男女問わず性差別に関する話をしていました。でも、就職後はそういう話をオープンにできる環境ではなくなったこともあり、違和感がある発言をされても誰かと共有する機会は減ってしまいました。

私の職場にいる男性で、『学歴なんて意味がない』とか、学歴を意識した嫌味を言ってくる方がいます。周りに聞いてみると、私が部署に配属されてから目立ってそういう発言をするようになったみたいなんです。その男性は難関私立大学出身ですが、周囲に自分よりも高学歴の女性がいることが気に食わないのかもしれません。

そもそも、職場では男性の社員で東大卒という人がたくさんいるんです。なので、私が配属されたとたんにそういう言動が増えたと聞いて、考えすぎかもしれませんが、私への当てこすりのように感じてしまいました。

今後も同じように、私が仕事で成果を上げたり、昇進したりすることを不快に思う人がいるのかと思うと、もどかしいですね」

東大女子が語る「東大女子の面白さ」

Cさんなりの「東大女子論」も聞かせてもらえた。

「個人的な考えですが、『東大女子』は一種のブランドでもあると思うんです。現役東大生、東大卒といった肩書自体がアピールになりますし、ましてや数の少ない東大女子ですから。それで社会から重宝されたり、活躍を期待されたりという面はあると思います。

その一方で、活躍する女性に対して嫌悪感を抱くというような価値観も残っているんですよね。ちやほやされて、かつ敬遠される。私自身、そんな東大女子として社会で生きていくことは結構面白いことだと思っています。それでも、逆風を受けて東大女子が活躍しきれないのは悔しいですし、壁を感じて東大受験を諦める女子高生がいると思うと、やるせないです」

入学前、在学中、卒業後と、様々な段階で東大女子に吹き付ける逆風。「なぜ東大に女性が少ないのか」という問いに、実体験が突きつけるものは多い。

さらに【つづき】「「田舎出身の東大生」が青ざめた…入学直後の「オリ合宿」でいきなり浴びせられる「まさかの洗礼」」の記事では、東大生が抱く「出身地」にまつわる複雑な思いを紹介する。

「田舎出身の東大生」が青ざめた…入学直後の「オリ合宿」でいきなり浴びせられる「まさかの洗礼」